そろそろ買い替えを考えてる、というお客様から「どの機種がいいですか」って聞かれることが増えてきたんですけど、みなさんカタログの星マークとか「省エネ性能◎◎%」みたいな表示、けっこう真剣に見比べてるんですよね。ネットで価格.comとか見ながら「これが一番星が多いから」って決めかけてる方もいて、気持ちはすごくわかるんです。でも実はあの数字、そのまま信じて選ぶとちょっと後悔することがあるんです。今日はその話をしようと思います。
そもそも「APF」って何を表してるのか
カタログによく載ってる「APF(通年エネルギー消費効率)」という数字、これは1年を通して冷房と暖房を使ったときに、どれだけ少ない電気でどれだけ効率よく部屋を冷やしたり温めたりできるか、を表す指標なんです。数字が大きいほど省エネ、というのはざっくり合ってます。星マークも基本的にはこのAPFを基準にランク付けされているものだと思ってもらっていいと思います。
ただ、この数字を出すための試験条件って、決まった広さの部屋、決まった外気温、決まった配管の長さといった「標準的な条件」で測られたものなんですよね。つまりあくまで各メーカーが横並びで比較できるようにするための共通ルール上の数字であって、お客様のお宅でそのまま同じ効率が出るとは限らない、というのが実際のところだと思います。試験室と実際の部屋は別物、というのはまず頭の片隅に置いておいてほしいところです。
カタログの星の数だけで選ぶと後悔するケース
これ、現場に出てるとよく感じるんですけど、同じ「6畳用」「星3つ」の機種でも、実際の効き方は家によってかなり違います。たとえば2階の西向きの部屋と1階の北向きの部屋だと、同じ広さでも日射の入り方が全然違うので、体感の効きも電気代も変わってくるんです。二重サッシかどうか、断熱材が入ってる年代の家かどうか、天井が高いかどうか、こういう条件も効きに直結します。築年数の古いお宅だと、カタログ上は十分な畳数のはずなのに「なんか思ったより効かない」というご相談を受けることもあるんですよね。
あと意外と見落とされがちなのが配管の長さと室内機・室外機の高低差です。配管が長くなったり、高低差が大きくなったりすると、機種本来の能力より少し落ちる場合があると言われています。マンションの高層階で室外機がベランダの端にある、なんてケースだと配管がかなり長く取り回されることもあるので、そういうお宅ではカタログスペックだけで判断するとちょっと物足りなく感じることがあるかもしれません。見積もりの際にうちが必ず設置場所を実際に見せてもらうのは、こういう「数字に出てこない条件」を確認したいからなんです。
「ちょっと大きめ」を勧めることがある理由
畳数の境界線、たとえば「6畳か8畳かで迷っている」みたいなときに、うちだと条件によっては少し上のクラスをお勧めすることがあります。これ、別に高い機種を売りたいからじゃなくて、余力のある機種のほうが真夏の一番暑い時間帯でも無理せず運転できて、結果的にコンプレッサーへの負担が減って長持ちしやすい、という考え方があるからなんです。ギリギリの能力の機種をフル稼働させ続けるより、少し余裕を持たせたほうが電気代も体感の快適さも安定しやすいと感じています。
ただ逆に、必要以上に大きすぎる機種を入れるのもあまりお勧めしていません。能力が余りすぎると設定温度にすぐ到達して運転が細かくオンオフを繰り返すようになり、かえって湿度が下がりきらずジメッとした感じが残ることもあるからです。なので「大は小を兼ねる」と単純に考えるのではなく、その部屋の使い方や条件に合わせて、ちょうどいいところを一緒に探していく、というのがうちのスタンスです。
それと新しく導入する場合は、その部屋だけじゃなくて分電盤側のアンペア数や専用回路の空き状況も一緒に見せてもらうようにしています。せっかく効率のいい機種を選んでも、電源側の余裕がなければ本来の性能を発揮しきれないこともあるので、機種選びと電源環境はセットで考えたほうがいいと思ってるんです。
買い替えの「損益分岐」をどう考えるか
「まだ動いてるけど、そろそろ替えたほうがいいのか」という相談もよくいただきます。古い機種でもちゃんと冷えているなら無理に替える必要はないと思うんですけど、10年、15年と使っている機種は、当時の基準からすると今のものより電気を多く使う設計になっていることが多いんですよね。なので使用頻度が高いお部屋、たとえばリビングのように毎日長時間つけっぱなしにするような場所ほど、買い替えによる電気代の差が工事費を上回るまでの期間が短くなる傾向があると言われています。
逆に、来客用の部屋や年に数回しか使わない部屋のエアコンをわざわざ最新機種に替えても、電気代の差はそこまで大きく出ないので急ぐ必要はないと思います。以前あるお客様のお宅で、リビングだけ先に最新機種に替えて、あまり使わない寝室のほうは様子を見ることになったんですが、結果的にそれで十分満足いただけたということもありました。
うちとしては「とにかく新しいのに替えましょう」ではなくて、そのお部屋の使い方や設置環境を聞いた上で、本当に今替えるべきなのか、それとも数年待ってもいいのか、正直なところをお伝えするようにしています。結局そのほうが長い目で見て信頼してもらえると思うんですよね。
カタログの星の数はあくまで入り口の目安であって、そこから先はその部屋の日当たりや配管の取り回し、電源環境まで見て初めて「実際どうなのか」がわかるものだと思ってます。次に機種選びで迷ったときは、ぜひそのあたりも含めて気軽に相談してもらえたらうれしいです。
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