最近、うちに新しいスタッフが入ってきて、現場で工具の名前を一つひとつ教える機会が増えました。その中で、自分が当たり前のように使っていた呼び方が、実は今の若い人にはあまり馴染みのない言い方だったんだな、と気づかされることが何度かあったので、今日はそんな話を書いてみようと思います。
「あれ取って」で通じなくなって気づいたこと
長年一緒に働いているベテランのスタッフ同士だと、「あれ」「それ」だけで会話が成立してしまうことが結構あります。工具箱の中を指して「あのニッパー取って」と言えば、何となく通じてしまう空気があるんですね。ところが新人さんにそれを言うと、当然ながら「あのニッパーってどれですか」と聞かれてしまいます。当たり前のことなんですが、改めて言われると、自分がどれだけ省略した言葉で仕事を進めてきたかに気づかされました。
それで実際に一つひとつ名前を教え始めると、自分の中にある呼び方が、メーカーの正式名称とはちょっと違っていたり、地域や先輩から教わった独自の呼び方だったりすることにも気づきました。例えば配管を固定するときに使う部品の呼び方なんかは、自分が最初に教わった呼び方をそのまま使い続けていたんですが、今の商品カタログでは少し違う名前で載っていたりするんです。長年のクセで、現場でしか通じない呼び方を無意識に使い続けていたんだなと、ちょっと反省しました。
教え方を変えると、自分の理解も整理される
新人さんに教えるときは、感覚で覚えてきたことを言葉にして説明しないといけないので、これが結構いい訓練になっています。「なんでこの工具をここで使うのか」を聞かれると、自分でも「そうか、こういう理由だったな」と改めて整理できる瞬間があるんですね。長年やっていると体が勝手に動いてしまう部分があるので、言葉で説明し直す作業は、実は自分自身のためにもなっているなと感じています。
特に安全に関わる部分、例えば高所での作業の順番や、電気を扱うときの確認手順などは、口頭だけでなく実際にやって見せながら説明するようにしています。ここは省略せずに、一つひとつの手順の「なぜそうするのか」まで伝えるようにしていて、新人さんが入るたびに、自分たちの作業の基本を見直すいい機会になっていると思っています。先輩が当たり前にやっている動作の裏には、実はちゃんとした理由があって、それを言葉にできるかどうかで、教え方の質も変わってくるんだなと最近よく思います。
世代によって頼りにする情報源が違うなと感じる場面
工具の名前だけでなく、調べ方そのものも世代によって違うなと感じる場面がよくあります。私たちの世代だと、分からないことがあればメーカーのカタログや先輩に直接聞くのが基本だったんですが、今の若いスタッフは、まず動画で調べることが多いようです。実際に工具の使い方を説明している動画を見せてもらって、「へえ、こんな説明の仕方もあるんだ」と逆に勉強になることもあります。
ただ、動画で紹介されている方法がそのまま現場で通用するとは限らない部分もあるので、そこは経験のあるスタッフがフォローして、現場特有の事情や、その建物ならではの注意点を補っていく必要があります。例えば古い建物の配線や配管は、動画で紹介されているようなきれいな条件とは違っていることが多く、そこで臨機応変に対応できるかどうかは、やっぱり経験の積み重ねが大きいなと感じます。新しい調べ方と、現場で積み重ねてきた経験、どちらか一方だけに頼らず組み合わせていくのが、結局は一番安全で確実なやり方だなと感じています。
道具の呼び方一つにも、会社の歴史が詰まっている
改めて工具箱の中を見渡してみると、呼び方だけでなく、工具そのものにも歴史があるなと感じます。先代から受け継いだ道具もあれば、現場で壊れて買い替えたもの、こだわって選んだメーカー品もあります。新人さんに一つひとつ説明していると、「これはおじさんの代から使っているやつで」とか、「これは前に失敗して買い替えたんだよ」という話が自然と出てきて、気づけば昔話をしていることも多いです。
そうやって道具の話をしているうちに、工具の名前を教えるというより、会社がどうやって仕事をしてきたかを一緒に振り返っているような感覚になることがあります。名前の違いなんて正直どちらが正しいという話ではなく、お互いに通じればそれでいいものだと思っています。ただ、こうして新しい人に一から教える機会があると、自分たちが当たり前だと思っていたことを見直すきっかけになるのは、ありがたいことだなと感じています。
これから一人前になってもらうために
これから冬本番に向けて現場も忙しくなっていきますが、新しいスタッフにも早く一人前になってもらえるように、焦らず一つひとつ丁寧に伝えていきたいと思っています。覚えることは工具の名前だけではなく、お客様への接し方や、安全に対する考え方など、本当にたくさんあります。
工具の名前一つからでも、教える側と教わる側、両方にとって学びがあるものだなと、改めて感じた出来事でした。これからも、こういう小さな気づきを大事にしながら、スタッフと一緒に成長していける会社でありたいと思っています。
そういえば先日は、新人さんから「この工具、もっと使いやすい新型が出てるみたいですよ」と教えてもらう場面もありました。教える側のつもりでいたら、逆に教わることもあるわけで、これもまた現場の面白さだなと感じています。
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