10月に入って、ようやく暖房の出番が本格的になってきましたね。そんな中で意外と多いのが「設定温度を上げてるのに、なんだか肌寒い気がする」というご相談なんです。故障かな、エアコンの調子が悪いのかなと心配になる方も多いんですが、実はこれ、本体の不具合でも設定ミスでもなく、「湿度」が関係していることがかなり多いんですよ、という話です。
暖房の温度を上げても、なぜか寒く感じる理由
冬のエアコンは、夏と違って空気をとにかく乾燥させる方向に動きます。暖かい空気はもともと湿気を含みやすい性質があるので、暖房を使うと室内の湿度はどんどん下がっていくんです。乾燥した空気は肌の表面から水分を奪いやすく、実際の室温よりも体感温度を下げてしまう性質があります。つまり、温度計は25℃を指しているのに、本人は「寒い」と感じてしまう、というズレが起きるわけですね。
これに気づかず「もっと暖かくしたい」と設定温度をどんどん上げていくと、実際には必要以上に部屋を暖めてしまい、電気代だけがかさんでいく、というのがよくあるパターンです。うちに来るお問い合わせでも「設定を28℃にしてるのに寒い」という方の部屋を見せてもらうと、湿度計が30%台前半、なんてことが珍しくありません。特にマンションの高層階や、窓が大きいリビングはこの傾向が強く出やすいと感じています。それと、エアコンの吹き出し口から出てくる空気自体の温度は十分高いのに、床付近だけがひんやりしている、という訴えもよく聞きます。これも暖気が天井付近にたまって循環していないことが原因で、湿度の問題とセットで起きていることが多いです。
湿度が10%上がるだけで、体感温度は結構変わる
一般的に、湿度が10%上がると体感温度は1℃前後変わると言われています。逆に言えば、設定温度を1℃下げても、湿度を少し上げてあげれば同じくらい暖かく感じられる、ということでもあるんです。これは地味なようで、1日何時間も暖房を使う冬の間に積み重なると、電気代にしっかり効いてきます。
うちのスタッフの家でも、冬場は湿度計を1つ置いて、40〜50%くらいをキープするようにしているという話をよく聞きます。湿度計は数百円から千円程度のものでも十分役に立つので、「寒い」と感じたらまず設定温度より先に湿度を疑ってみる、というのが癖になっているようです。乾燥しすぎると喉や肌の調子にもよくないので、暖房と湿度管理はセットで考えるのがちょうどいいバランスだと思うんですよね。ご家族の中で「暑がりな人」と「寒がりな人」が同居しているお宅だと、設定温度の取り合いになりがちですが、こういうときこそ湿度を調整する方が角が立たない解決策になることも多いです。温度を上げ下げするより先に、加湿を1つ足してみる、という選択肢を持っておくと便利だと思います。
加湿のやりすぎも実はNG、ちょうどいいラインとは
じゃあ加湿すればするほどいいのかというと、それも違います。湿度が60%を超えてくると、今度は窓や壁、押し入れの中などに結露が出やすくなり、放っておくとカビの原因にもなってしまいます。特に冬場は窓の内側が結露しやすいので、朝起きたときに窓がびっしょり濡れているようなら、加湿のしすぎのサインかもしれません。目安としては、冬場は40〜50%くらいがちょうどいいラインだと言われています。
加湿器をお使いの場合は、湿度計とセットで使って、数値を見ながら調整するのがおすすめです。加湿器がないお宅でも、洗濯物の部屋干しや、お湯を張った洗面器を部屋の隅に置くだけでも多少は変わります。コストをかけずにできる工夫なので、エアコンの電気代が気になる方はまず試してみる価値があると思います。逆に加湿器のタンクの水を長期間入れ替えずに使っていると、雑菌が繁殖した状態で部屋中に噴霧されてしまうこともあるので、そこだけは定期的な掃除を忘れないでいただきたいところです。
乾燥対策と節電、実は両立できます
湿度を適切に保つこと以外にも、暖房の効率を上げるコツはいくつかあります。まずはフィルター掃除です。フィルターにホコリが詰まっていると、同じ温度設定でも暖かい空気が出てくるまで時間がかかり、余計な電力を使ってしまいます。冷房シーズンほど汚れは目立ちませんが、できれば2週間に1回くらいの掃除が目安です。
それから、風向きを「下向き」にすることも効果的です。暖かい空気は上にたまる性質があるので、下向きに送ることで足元から部屋全体を暖めやすくなります。あわせてサーキュレーターや扇風機で空気を軽くかき混ぜると、天井付近にたまった暖気が循環して、設定温度を上げなくても体感がぐっと暖かくなることが多いです。窓際からの冷気が気になる場合は、厚手のカーテンを閉めるだけでも室温の下がり方がかなり違ってきます。
うちに点検や工事で伺ったお宅でも、これらを少し見直しただけで「同じ設定温度なのに前より暖かく感じる」と言っていただけることが結構あります。エアコン本体を買い替えたり、設定温度を無理に上げたりする前に、まずは湿度・フィルター・風向きという身近なところから見直してみると、思っていたより快適に、しかも電気代を抑えて過ごせることが多いんです。これからの季節、ぜひ試してみてもらえたらうれしいです。どうしても改善しない場合や、フィルター掃除をしても暖まり方が明らかにおかしいと感じる場合は、内部の汚れやガスの状態など、別の原因が隠れていることもあるので、そのときは遠慮なく一度点検にお声がけいただければと思います。
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