夜の休憩室で若手が電気工事士の参考書を広げていた話

夜の休憩室で若手が電気工事士の参考書を広げていた話

お盆っていうと、うちみたいな仕事はむしろ忙しくなる時期なんですけど、それでも夜になると現場も一段落して、休憩室がちょっと静かになる瞬間があるんです。先日、その時間に若手のスタッフが休憩室の隅で分厚い参考書を広げているのを見かけて、覗いてみたら「第二種電気工事士」の勉強をしていました。手元にはマーカーだらけの過去問集と、ノートいっぱいに書かれた配線の図。今日はそのときにふと考えたことを書いてみようと思います。

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きっかけは、お盆で少し静かになった夜の休憩室でした

うちの現場は基本的にエアコンの取り付けや入れ替えが中心なんですが、電源の配線をいじる作業がどうしても出てきます。だから若手には早い段階で資格取得を勧めていて、その子も入社してからずっと勉強していたはずなんです。ただ正直こういうのって「頑張ってるな」で終わりがちで、社長として中身までちゃんと把握できていなかったな、と反省したのが今回のきっかけです。

せっかくなので、その参考書を見せてもらいながら少し話を聞いてみました。複線図のページを開いて「ここがまだ苦手で」と言っていたんですが、話を聞いているうちに、意外と自分自身も忘れていた部分があったりして、逆に勉強させてもらった気分になりました。現場を長くやっていると、感覚でできてしまう部分と、試験でちゃんと問われる知識の部分って、実はズレがあるんですよね。例えば単線図から複線図に描き起こす作業なんかは、現場では機械が勝手にやってくれる感覚に近いところがあるので、あらためて「なぜこう配線するのか」を人に説明しようとすると、意外と言葉に詰まったりするんです。

第二種電気工事士って、実はけっこう独特な試験なんです

この資格、学科試験と技能試験の二段構えになっていて、学科に受かった人だけが技能試験に進める仕組みになっています。面白いのが技能試験で、候補になる配線図があらかじめ十数パターン公開されていて、その中のどれか一つが本番で出題される、という形式になっていると言われています。つまり事前に全パターンを練習しておけば、本番で「見たことない問題」に当たることはない、というちょっと変わった試験なんです。

とはいえ、パターンが分かっていても油断できないのが技能試験で、時間内に配線をミスなく組み上げる必要があります。電線の被覆をどれくらい剥くか、リングスリーブや差込コネクタでどう接続するか、といった細かい作業を制限時間の中で一つずつ正確にこなしていく必要があると聞いていて、一か所のミスが減点に直結するシビアな試験だそうです。複線図を正確に読み書きできるかどうかが最初の壁になりやすくて、うちの若手もそこで手が止まっていました。手先の器用さよりも、図面を頭の中で立体的に組み立てられるかどうかが問われる試験だと思っていて、これは現場での配管ルート取りの感覚と近いものがあるなと話しながら感じました。

エアコン屋にとって、この資格は「あったら便利」じゃなくて「ないとできない」もの

エアコンの工事って冷媒配管やドレン配管のイメージが強いかもしれませんが、実際には電源の分岐や専用回路への接続といった電気工事の部分も必ず発生します。この電気まわりの作業には資格がないと触れない範囲があると言われていて、うちでは資格を持っているスタッフが必ず電気系統の最終確認をする、という体制を組んでいます。特に古いお宅だと、そもそも専用回路が来ていなかったり、ブレーカーの容量がギリギリだったりするケースも多くて、そういうときこそ電気の知識がある人間が現場を見て判断する必要が出てきます。

だから若手にとっては、この資格を取ることが「一人で現場を任される」ための最初の関門になります。逆に言うと、資格を取るまでは先輩が必ず横について電気まわりを見る形になるので、会社としても早く取ってもらえると助かる、というのが正直なところです。うちでは過去問の問題集を会社で用意したり、技能試験の練習用に余った電線や器具を休憩室に置いておいたりして、隙間時間に練習できるようにしています。

資格を取った後、任せられる仕事の幅が変わってくる

実際に資格を取ったスタッフを見ていると、取得後に一番変わるのは技術そのものより「お客様への説明の仕方」だったりします。電気の仕組みをちゃんと理解しているから、ブレーカーが落ちる原因や専用回路が必要な理由を、自分の言葉できちんと説明できるようになるんです。以前は先輩の言葉を借りて説明していた子が、自分の理解で話せるようになる瞬間があって、そこが一番の成長ポイントだなと思っています。実際、あるスタッフが資格を取った直後の現場で、お客様に専用回路が必要な理由を図を描きながら説明していたことがあって、後で「あの子、説明が丁寧で分かりやすかった」と言っていただけたことがありました。ああいう瞬間を見ると、やっぱり資格って知識の証明だけじゃなくて、お客様との信頼関係にも直結しているんだなと実感します。

資格そのものはゴールじゃなくて、そこからが本当のスタートだと思っています。今回参考書を広げていた子も、あと少しで学科試験だと言っていました。合格したら次は技能試験の練習に付き合おうと思っていますし、うちとしても道具や時間の面でできる限りサポートしていきたいなと考えています。

お盆で人の動きが少ない夜だからこそ見えた光景でしたが、こういう地道な積み重ねが現場の安心につながっていくんだと思います。これからも若手の勉強は、会社としてしっかり後押ししていきたいですね。


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