暑い日が続くと、うちにも「エアコンの効きが悪くなった気がする」というご相談が増えてくるんですけど、実はその原因、室内機でも室外機本体でもなく、外壁を這っている配管の「保温材」だったりすることがあるんです。エアコン本体は新しくても、配管まわりのメンテナンスってどうしても後回しにされがちなんですよね。今日はこの、あまり目立たないけど地味に大事な保温材の話をしようと思います。
保温材って、そもそも何のためについてるの
エアコンの配管って、室内機と室外機をつなぐ細い銅管が2本セットになっていて、その中を冷媒がぐるぐる循環しています。冷房運転中、この配管の中は氷点下近くまで冷えることもあるんですね。そこで配管の表面を発泡プラスチック系の保温材(よく黒っぽいスポンジ状のホースみたいなやつです)でぐるっと巻いて、外の空気と冷たい配管が直接触れないようにしてるんです。
この保温材、実は2つの仕事を同時にこなしています。ひとつは配管の表面に結露水がつくのを防ぐこと。もうひとつは、せっかく冷やした冷媒が配管の途中で外気に温められて効率が落ちるのを防ぐことです。地味ですけど、これがないとエアコンは本来の性能をまったく発揮できません。薄着のまま真夏の屋外に長時間いるようなもので、どんなに頑張って冷やしても外との熱のやりとりでどんどん力が逃げていってしまうんです。
ちなみに新品の配管には工場出荷の段階で保温材が巻かれた状態のものと、現場で配管を切って長さを合わせたあとに一本一本手作業で巻いていくものがあります。うちの職人が工事のときにいちばん気をつけているのは、この保温材のつなぎ目とテープの巻き方です。ここが甘いと、新品の状態からすでに弱点を抱えたままスタートしてしまうことになるので、実は見た目以上に施工の丁寧さが差の出るところなんです。
劣化のサインは「ひび割れ」と「粉ふき」だけじゃない
保温材は基本的に屋外にむき出しで使われるので、紫外線と雨風にずっとさらされ続けます。うちの現場でよく見かける劣化パターンは、まず表面がパリパリに硬くなって、触るとひび割れてポロポロ崩れてくるタイプ。特に南向きの壁で直射日光をがっつり浴びている配管は、5〜7年くらいでこの状態になっていることが珍しくありません。
もうひとつよくあるのが、保温材そのものは無事でも、つなぎ目に巻いてある粘着テープだけが先にダメになっているケースです。テープの粘着力が落ちて、めくれてパックリ口が開いてしまうと、そこからピンポイントで結露や雨水が入り込んで、内側の保温材がスポンジのように水を吸ってしまうんですね。見た目は「まだ大丈夫そう」に見えても、触ると中がじっとり湿っていることがあって、これは意外と見落とされがちなポイントです。
あとは動物のいたずらというパターンも実はあります。猫や鳥が保温材をつついたり、外壁と配管の隙間に巣を作ろうとしてかじってしまったりすることもあって、これは築年数に関係なく起こり得ます。
放置すると起きる、地味だけど厄介なトラブル
保温材が劣化した状態を放っておくと、まず起きやすいのが「配管からポタポタ水が垂れる」という現象です。室内機からの水漏れだと思って点検を呼んだら、原因は屋外の配管保温材の劣化だった、というのはうちの現場でも実際によくあるパターンです。ベランダや室外機の下がいつも濡れている、コンクリートに水の跡がついている、という場合は疑ってみてほしいところです。
もうひとつ地味に効いてくるのが電気代です。保温材が薄くなったりびしょ濡れになったりすると断熱性能がガクッと落ちるので、同じ設定温度でもコンプレッサーがより長く動き続けることになります。体感としては「なんとなく効きが悪い」程度でも、月々の電気代を見るとじわじわ増えていた、ということは十分あり得るんです。
さらに長期間水分を含んだ状態が続くと、配管の銅管そのものが腐食してくることもあります。こうなると保温材を巻き直すだけでは済まなくて、配管ごと交換という大掛かりな話になってしまうので、早めに気づいてあげることがいちばんのコストダウンだったりします。
自分で直していいものと、プロに任せるべきものの境界線
「テープが少しめくれてるだけなら自分で巻き直せるかな」と思う方もいらっしゃると思いますし、実際、市販の配管用テープをホームセンターで買ってきて表面だけ補修することは可能です。応急処置としてはアリだと思います。
ただ、保温材そのものが割れていたり、中まで水を吸って重くなっていたりする場合は、表面だけテープを巻いても水分を閉じ込めてしまうだけで根本解決になりません。この状態だと、いったん古い保温材を外して乾燥させるか、丸ごと新しい保温材に交換する作業が必要になります。配管を傷つけずに古い保温材を剥がすのは意外とコツがいる作業なので、ここから先はプロにお任せいただくのが結局早いし安く済むことが多いんです。
目安としては、設置から7〜8年以上たっていて、配管をチェックしたことが一度もない、というお宅は一度見てもらうと安心だと思います。定期点検のついでにでも、遠慮なく「配管の保温材も見てほしい」と言っていただければと思います。
普段はまず視界に入らない部分だからこそ、気づいたときにはけっこう進行していた、ということが起きやすい場所なんです。ベランダや室外機のまわりを掃除するついでにでも、たまには配管の様子もちらっと見てあげてください。
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