暖房の設定温度、1℃でも高くしたい季節…実は下げるだけで電気代がかなり変わるんです、という話

暖房の設定温度、1℃でも高くしたい季節…実は下げるだけで電気代がかなり変わるんです、という話

朝晩めっきり冷えるようになって、うちにも「暖房、そろそろ本格的に使い始めました」というお声がぽつぽつ届くようになりました。冷房のときは「設定温度を下げれば下げるほど早く涼しくなる」という思い込みの話をよくするんですが、暖房のシーズンになると今度は逆に「設定温度を高くすればすぐ暖まる」と思ってる方が結構多いんですよね。実はこれ、冷房のときと同じくらい電気代に響く思い込みなんです。今日はそのあたりを、現場目線でちょっと深掘りしてみようと思います。

目次

暖房が冷房より電気を食いやすい理由

そもそもの話なんですが、暖房は冷房よりも電気代がかかりやすい仕組みになっています。エアコンは外の空気から熱を取り込んで室内に送る「ヒートポンプ」という仕組みで動いていて、外気温と設定温度の差が大きいほど、そのぶん頑張って熱を集めなきゃいけなくなるんです。夏場は外気温と設定温度の差がせいぜい10℃前後で済むことが多いんですが、冬の朝晩は外が5℃、室内を20℃にしたいとなると差が15℃以上になることもあります。この差が大きくなるほど室外機はフル回転になって、電気代もぐっと上がりやすくなるという理屈です。

だからこそ「設定温度を1℃上げる」というのは、見た目以上に室外機に負担をかける操作なんですよね。夏の冷房で「1℃下げると電気代が10%前後変わる」と言われているのと同じように、冬の暖房でも「1℃上げると電気代がそれなりに変わる」と言われていて、方向は違っても仕組みはそっくりなんです。

「すぐ暖まらないから」で温度を上げ続けるのは逆効果

現場でよく聞くのが「暖房つけてもなかなか暖まらないから、設定温度をどんどん上げてしまう」というパターンです。これ、気持ちはすごくわかるんですが、実はエアコンの暖房って立ち上がりに少し時間がかかるのが普通なんです。冷房よりも室内全体の空気を暖め切るまでに時間がかかるので、つけてから10分やそこらは「まだぬるいな」と感じることも珍しくありません。そこで温度を25℃、26℃まで上げてしまうと、いったん部屋が暖まったあとも室外機がずっと頑張り続ける状態になって、電気代がかさむだけでなく、部屋が暑すぎて逆に体調を崩す原因にもなりかねません。

おすすめしているのは、設定温度は20℃前後に固定して、暖まるまでの時間は「風量を自動」にして待つという使い方です。風量を上げると温度そのものが上がるわけではないんですが、暖かい空気を早く部屋全体に行き渡らせる効果があるので、体感としては早く暖まった感じになります。設定温度をいじるよりも、こちらのほうがよっぽど効率がいいんです。

設定温度以外でカバーできる工夫がけっこうある

暖房の電気代を抑えたいなら、設定温度をいじる前にできることが実はいくつもあります。まず一番手軽なのが、厚着や靴下・スリッパなど「体感温度を上げる」工夫です。設定温度を1℃上げるかわりに1枚多く着るだけで、感じ方としてはそれ以上の差が出ることも多いんですよね。次に効くのが加湿です。湿度が上がると同じ気温でも暖かく感じやすくなるので、加湿器を併用すると設定温度を上げずに済むケースが増えます。

もうひとつ意外と見落とされがちなのが、カーテンです。窓は家の中でもっとも熱が逃げやすい場所のひとつなので、厚手のカーテンを床近くまで閉めるだけで、暖房の効きがはっきり変わることがあります。逆にレースカーテンだけで過ごしていたり、窓際に大きな家具を置いてサーキュレーションを塞いでいたりすると、せっかく暖めた空気がどんどん逃げていってしまいます。夏に室外機周りのモノをどかす話をしたことがありますが、冬は室内側の空気の流れを整理してあげることが節電のカギになる、という感覚です。

フィルターと室外機、暖房シーズンも油断しないでほしい話

フィルターの汚れが冷房の効きを悪くするという話は割とよく知られていますが、暖房でも同じことが起きます。フィルターが詰まっていると、室内機に取り込む空気の量そのものが減ってしまうので、暖める効率が落ちて余計に電気を使ってしまうんです。冷房シーズンが終わって「もう掃除しなくていいか」と油断しがちなタイミングなんですが、暖房を使い始める今の時期にもう一度フィルターを掃除しておくと、シーズン最初から効率よく運転できます。

室外機のほうも、暖房時は「霜取り運転」という、一時的に暖房を止めて室外機の霜を溶かす動きが入ることがあります。これは正常な動きなので心配しなくて大丈夫なんですが、室外機の周りに物が置かれていたり、霜取り時に出る水の逃げ場がなかったりすると、うまく作動せず効率が落ちてしまうことがあります。冬の間だけでも、室外機の周囲は少しスペースを空けておいてもらえると、暖房の効きも電気代も安定しやすくなります。

設定温度を1℃動かすだけの操作って、正直「そんなに変わらないでしょ」と思われがちなんですが、積み重なると結構バカにならない差になります。厚着や加湿、カーテン、フィルター掃除みたいな地味な工夫をひとつずつ重ねていくほうが、実は一番コスパのいい節電なんじゃないかなと、この時期になるといつも思います。


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