朝晩がすっかり涼しくなって、うちにも「そろそろ暖房の相談」というお電話がぽつぽつ入るようになりました。その中で毎年必ず出てくるのが、「暖房をつけたのに、しばらくぬるい風というか、冷たい風みたいなのしか出てこないんですけど、これ壊れてますか?」というご質問なんです。結論から言うと、ほとんどの場合は壊れていません。今日はその理由と、じゃあどこまでなら様子を見ていいのか、という線引きの話をしたいと思います。
暖房がすぐに温風にならないのは「予熱運転」のせいなんです
エアコンの暖房は、スイッチを入れた瞬間から温風がブワッと出てくるわけじゃないんですよね。室外機が冷媒を圧縮して熱を作り出すまでには、どうしても少し時間がかかります。この間、室内機の風を止めたり、弱くしたりして、冷たい風がお部屋に直接当たらないように調整しているんです。これを「予熱運転」と呼んでいて、メーカーを問わずほとんどの機種に搭載されている、ごく普通の機能です。
特に外気温がぐっと下がった朝なんかは、この予熱にかかる時間が長くなりがちです。うちのお客様の中にも「うちの機種だけおかしいんじゃないか」と心配される方がいらっしゃるんですが、実はメーカーや機種によって予熱の長さがけっこう違っていて、長いものだと5分近くかかることもあります。安い機種だから遅い、高い機種だから速い、という単純な話でもなくて、むしろ最近の省エネ性能が高い機種ほど、じっくり予熱して無駄なく立ち上がろうとする分、体感的には「あれ、遅いな」と感じることもあるくらいです。これは仕様の範囲内なので、まずは慌てないでいただきたいところです。
「霜取り運転」中は、むしろ風が止まることもあります
もうひとつ、この時期からお問い合わせが増えるのが「暖房をつけていたら、急に生ぬるい風になった、もしくは風自体が止まった」というケースです。これは室外機の熱交換器に霜がついてしまい、それを溶かすための「霜取り運転(デフロスト)」に入っていることが多いんです。外がキンと冷えて湿度も高い日ほど、霜がつきやすくなります。特に明け方や、雨上がりで湿度が高い日の夜なんかは霜取り運転に入る頻度が上がる印象があります。
霜取り運転中は、効率よく霜を溶かすために一時的に暖房運転そのものを止めてしまう機種が多く、その間は室内機からほとんど風が出なかったり、逆にひんやりした風が出たりします。これも故障ではなく、正常な自己メンテナンスのようなものだと思っていただければと思います。だいたい10分前後で通常運転に戻ることが多いので、ここで電源を何度も入れ直したりすると、かえって運転が安定しなくなることもあるので注意してください。何度も入れ直すと、その都度また予熱運転からやり直しになってしまい、結果的にいつまで経っても温風が出ない、という悪循環になりがちなんです。
それでも気になる時に、まず見てほしいポイント
とはいえ「じゃあどれくらい待てばいいの」というのが一番気になるところだと思うんです。うちの目安としては、電源を入れてから10分から15分経ってもまったく温風の気配がない場合は、一度確認していただきたいなと思っています。まずはリモコンの設定温度が室温よりちゃんと高くなっているか、そして風量設定が「自動」や適切な強さになっているかを見てください。地味なところですが、これだけで解決することも意外とあります。
あわせて室外機の周りも見てほしいポイントです。落ち葉やゴミが吹き込み口をふさいでいたり、室外機の前に荷物が置かれていたりすると、熱交換の効率がぐっと落ちて、いつまでも温風にならないことがあります。この時期は落ち葉が特に溜まりやすいので、室外機周りを軽く掃いておくだけでも変わってくると思います。あと、去年の夏に室外機カバーをかけたまま忘れている、というのも実はよくあるケースなので、一度目視で確認していただくといいと思います。
ここから先は業者を呼んでいただきたいサインです
一方で、これは様子見せずにご連絡いただきたい、という目安もあります。ひとつは、30分以上待っても一切温風にならず、室外機のファンも回っている気配がない場合です。もうひとつは、運転音がいつもと明らかに違う、または室外機から異音や異臭がしている場合ですね。こうした時は、冷媒の量が足りていなかったり、コンプレッサーそのものに不調が出ていたりする可能性が出てきます。
あと意外と見落とされがちなのが、リモコンの表示自体にエラーコードが出ているケースです。数字やアルファベットの組み合わせが表示されている時は、それだけでメーカーに機種名と一緒に伝えていただくと、電話口である程度状況の見当がつくこともあります。無理に自己判断せず、気になったらまずは一本連絡していただくのが結局一番早いと思っています。特に築年数が古めのお住まいだと、暖房を使うのが実質半年ぶり、なんてこともよくあるので、シーズン最初の運転で違和感があれば、様子を見すぎずに一度チェックしてもらう方が安心だと思います。
暖房シーズンの入り口は、こういう「あれ?」が一番増える時期なんですよね。ほとんどは正常な動きなんですが、心配な気持ちもよくわかるので、迷ったら遠慮なく聞いていただければと思います。
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