先週あたりから、事務所の近所の畑のふちに彼岸花がぽつぽつ顔を出し始めました。毎年、この花を見ると「ああ、もうそんな時期か」と思うんですよね。真夏の現場をがむしゃらに走ってきた分、季節がふっと切り替わる瞬間に妙にしみじみしてしまいます。今日はそんな、季節の変わり目にうちの現場で起きている、ちょっとした変化の話をさせてください。
工事の依頼内容が、じわっと入れ替わってきています
9月に入ってからのお問い合わせ、内容がはっきり変わってきているのを感じます。真夏は「今すぐ冷房が使いたい」という緊急度の高いご連絡が中心でしたが、ここ最近は「暖房の効きが悪い気がする」「そろそろ買い替えを検討したい」といった、少し先を見据えたご相談が増えてきました。
面白いのが、同じ「買い替え相談」でも理由がバラバラなことです。お子さんの受験を控えて「冬に暖房が止まったら困るから今のうちに」という方もいれば、単純に「去年の冬、効きが悪くて電気代がすごかった」という方もいます。同じ季節の変わり目でも、お客様ごとに事情が全然違うんだな、と毎年この時期に改めて思わされます。
あと、これは毎年のことなんですが、9月に入ると「実は夏の間ずっと気になってたんですけど」という切り出し方のご連絡が急に増えます。真夏は「動けばそれでいい」という優先順位だったのが、少し落ち着いてくると「そういえば変な音がしていた」「風の出方が左右で違う気がする」といった、後回しにしていた小さな違和感を思い出す方が多いんだと思います。急ぎではない分、じっくり話を聞かせてもらえるのがこの時期のありがたいところでもあります。
うちとしても、この時期の相談は工事の日程がまだ比較的組みやすいので、実はおすすめのタイミングだったりします。真冬になってから「暖房が動かない」と駆け込みで来られると、どうしても順番待ちになってしまうことがあるので、少し早めに動いていただけると私たちとしても助かります。
職人たちの現場の空気も、少しずつ変わってきました
真夏は朝イチから汗だくで、休憩の水分補給も普段の倍くらい気を使っていたんですが、最近は朝の現場入りがずいぶん過ごしやすくなりました。若い職人たちの動きを見ていても、心なしか丁寧さが戻ってきている気がするんです。暑さで体力を削られている時期は、どうしても「早く終わらせたい」という気持ちが先に出てしまうものですが、涼しくなると自然と作業一つひとつに落ち着きが出てくるものだなと感じます。
ただ、これは油断できない時期でもあります。朝晩が涼しくなった分、日中との温度差で体調を崩す職人も出てくるんですよね。夏の疲れがどっと出るのもちょうどこのタイミングで、実際うちでも先週、ベテランの一人が軽い風邪でダウンしました。現場のシフトを組む側としては、この「季節の谷間」の体調管理を、真夏の暑さ対策と同じくらい真剣に考えないといけないな、と改めて思っています。
それと、道具の手入れの仕方も少しずつ変わってきます。真夏は工具袋を車内に置いておくだけで中が蒸れて、金属部分がすぐ錆びついてしまうので、みんな毎日拭き上げてから積み込んでいました。涼しくなってくるとその手間は減る一方で、今度は朝露で脚立や配管が湿っていて、うっかり滑りそうになる場面が出てきます。危ないポイントが夏と秋で入れ替わるだけで、油断していい季節なんてないんだな、と職人たちを見ていてつくづく思います。
秋は「点検」のご相談を増やしてほしい季節だと思っています
もう一つ、地味だけど大事だと思っているのが「試運転」です。夏の間ずっと冷房しか使っていなかったエアコンは、実は暖房の機能をまったく試していない、という状態のまま数ヶ月放置されていることが多いんです。冬が来てから初めて暖房のスイッチを入れて「あれ、動かない」となるより、涼しいこの時期に一度暖房を数分だけ試しておくほうが、万が一の不具合に早く気づけます。故障だった場合でも、真冬の繁忙期に順番待ちになるより今のうちのほうが対応も早いので、私はけっこう本気でおすすめしています。
正直な話をすると、私は秋という季節を「エアコンをしっかり見直すのに一番向いている時期」だと思っています。冷房のフル稼働も終わって、まだ暖房本番も来ていない、いわば機械にとっての小休止のタイミングだからです。この時期にフィルターや室外機まわりを一度点検しておくと、冬の立ち上がりがぐっとスムーズになります。
うちのお客様の中には、毎年この時期に「様子見でいいので一回見てほしい」と定期的に連絡をくださる方が何人かいらっしゃいます。実際に何か不具合が見つかることもあれば、「特に問題ないですね」で終わることも多いんですが、それでもいいと私は思っています。何もなかったと分かること自体が、冬を安心して過ごすための材料になるはずなので。
正直、こういう「異常なしでした」で終わる点検って、商売としては別に儲かる話じゃないんです。それでも続けているのは、そこで信頼していただけたお客様が、何年か後にリフォームや新規のご相談を持ってきてくださることが実際に多いからです。目先の一件より、長く付き合っていただけることのほうが、うちみたいな地域密着の会社にとってはずっと大事だと思っています。
彼岸花が咲き終わる頃には、うちの現場もすっかり秋の顔つきになっているんだろうなと思います。忙しさの種類が変わるだけで、休めるわけではないんですけどね。それでも季節が動くのを感じられる仕事っていいものだな、と柄にもなくしみじみしてしまう今日この頃です。
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