エアコン工事の「真空引き」、省略されると数年後にガタが来るという話

エアコン工事の「真空引き」、省略されると数年後にガタが来るという話

エアコンの工事について書くと、どうしても室外機とか配管とか、目に見える部分の話が多くなるんですけど、今日は工事の中でいちばん地味で、でもいちばん効いてくる工程の話をしようと思います。「真空引き」っていう作業なんですけど、名前だけ聞くとピンと来ない方がほとんどだと思うんですよね。うちの現場では当たり前にやっていることなんですけど、実はここをどれだけ丁寧にやるかで、エアコンの寿命がかなり変わってくると思っています。

目次

真空引きって、そもそも何をしている工程なのか

エアコンって、室内機と室外機を配管でつないで、その中を冷媒ガスがぐるぐる回ることで冷えたり暖まったりする仕組みなんです。この配管、工事のときに新しく接続するわけですけど、接続した直後の配管の中には、目に見えない空気とか水分が残ってるんですよ。空気中の水分って、配管を切ったりつないだりするほんの数分の作業の間に、ほんの少し入り込むだけなんです。人間の目には全く見えないレベルの話なんですけど、これが後々大きな差になります。

真空引きっていうのは、専用のポンプを使って配管の中の空気と水分を強制的に抜いて、文字通り「真空」の状態を作る作業のことです。だいたい15分から20分くらい、ポンプを回し続けて配管内の圧力をぐっと下げていくんですけど、この時間、正直言って現場では地味すぎて、お客様の前で「今真空引きしてます」って説明しても、見た目は「ポンプがブーンって鳴ってるだけ」なんですよね。派手さが全くないので、工事を見学されているお客様からは「何もしてないように見える時間」だと思われがちです。だから軽視されがちなんです。

省略するとどうなるか、うちが見てきた実例

この真空引きを省略したり、時間を短縮したりすると何が起きるかというと、配管内に残った水分や空気が冷媒と一緒に循環し始めます。水分は冷媒サイクルの中で凍結したり、金属部品を腐食させたりする原因になると言われています。空気が混ざると、本来冷媒だけが担うはずの熱交換の効率が落ちて、エアコンが「効きにくい」状態になります。しかも厄介なのは、工事した直後は普通に冷えたり暖まったりするので、その場では全く問題に気づけないということなんです。

うちが実際に点検で入った現場で、新築から3年くらいで急に効きが悪くなったっていうお宅があったんですけど、配管を開けてみたら中に若干の腐食が見つかったことがあります。工事した業者さんが悪意を持って手を抜いたというより、忙しい時期に真空引きの時間を削ってしまった、というケースだと思うんですよね。悪気はなくても、結果としてお客様が数年後に困ることになってしまう。これがいちばん怖いところだと思っています。しかも配管の中の話なので、壁を開けたり配管を交換したりしないと直せない場合もあって、修理の規模がどうしても大きくなりがちなんです。

現場でよくある「時間短縮」のパターン

正直な話をすると、真空引きの時間を削りたくなる気持ちも分からなくはないんです。1日に何件も工事が入っている繁忙期なんかは、1件あたりの作業時間をどうにか縮めたいという圧力がかかりますし、真空引きは「待ってるだけの時間」に見えるので、削っても目に見える形でその場のトラブルにはならない。だからこそ、その日その場では気づかれずに済んでしまうんです。夏場の工事ラッシュの時期なんかは特に、この誘惑が強くなる時期だと思います。

あと、配管が短くて簡単な工事だから大丈夫だろう、っていう判断で時間を削られるケースもあります。でも配管の長さに関係なく、接続部分から入り込む水分や空気の量ってそんなに変わらないんですよね。むしろ短い配管のほうが「これくらいなら大丈夫だろう」と油断されやすいという面もあるかもしれません。うちでは配管の長さにかかわらず、規定の時間はきっちり真空引きするようにしています。これは正直、目立たない部分でのこだわりなんですけど、後で効いてくるところだと思うので譲れないんです。

依頼するときに、お客様が確認できるポイント

とはいえ、お客様の立場からすると、工事中に真空引きをちゃんとやっているかどうかを見た目で判断するのはかなり難しいと思います。なので、工事を依頼する段階で「真空引きはどれくらいの時間やっていますか」と一言聞いてみるのは、意外と有効だと思うんですよね。ちゃんとした業者であれば、具体的な時間や理由をすぐに答えられるはずです。逆にその質問にあいまいな答えしか返ってこない場合は、少し慎重に考えてもいいポイントかなと思います。

あと、工事後にエアコンの効きが悪いとか、数年で調子が悪くなったという場合は、フィルターの汚れとか設置場所だけじゃなくて、こういう工事段階の要因も一つの可能性として頭の片隅に置いてもらえるといいのかなと思います。もちろん全部が真空引き不足のせいというわけではないですけど、可能性の一つとして知っておくと、点検を頼むときの話が早くなると思うんです。特に、新しく設置してから1年以内に急に効きが悪くなったという場合は、施工段階の問題が疑われるケースも少なくないと感じています。

目に見えない作業ほど、実はいちばん結果に効いてくる。工事の仕事をやっていると、そういう場面によく出会います。地味な工程ですけど、うちはこれからもきっちりやっていこうと思っています。


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