新人スタッフが初めて一人で現場に行った日、という話

新人スタッフが初めて一人で現場に行った日、という話

先週、うちの若手スタッフが初めて「一人で」お客様のお宅に点検に行きました。先輩が付いていかない、本当に一人での現場です。送り出す側のこっちの方が、正直ちょっとドキドキしたんですよね。

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「一人で行ってきます」と言われた日の朝

その日の朝礼、いつもと同じように道具の確認をしていたんですけど、その子だけ少し表情が違ったんです。緊張してるのが見てすぐ分かりました。工具箱の中身を何度も確認してたり、お客様の住所をスマホで何回も見返してたり。普段はそんなことしないので、よっぽど気合が入ってたんだと思います。

うちの会社では、入社してからだいたい半年から1年くらいは先輩に同行してもらう期間を設けています。エアコンの取り付けや点検って、覚える作業は実はそんなに難しくないんですけど、「お客様とのやり取り」の部分が一番時間がかかるんですよね。机の上の荷物をどう避けるか、靴をどこに置くか、作業中に何を話しかけるか。そういう細かいことの積み重ねなんです。

同行期間が終わるタイミングは、正直マニュアルで決めているわけではありません。先輩が「もう一人で行けるな」と感じたタイミングで、こちらに声をかけてもらって、私も一緒に様子を見た上で判断しています。技術的な部分はもちろん見ますが、それよりも「分からないことが出てきたときに、どう振る舞うか」を重点的にチェックしているんです。

現場で一番怖いのは「分からないことを分からないままにする」こと

一人で行かせる時に必ず伝えているのが、「分からなかったら、その場で電話しろ」ということです。見栄を張って適当に判断して、後で大きなトラブルになるのが一番怖いんですよね。これは技術の話だけじゃなくて、お客様への対応でも同じです。言われたことの意味がよく分からなかったら、その場で聞き返していい。それが一番安全で、結果的にお客様にも喜んでもらえます。

実際、その日も一度電話がかかってきました。「配管の取り回しがこうなっているんですけど、これで大丈夫でしょうか」って。写真を送ってもらって、こっちで判断して指示を出しました。たった3分くらいのやり取りでしたけど、その電話をかけてきたこと自体を、私はすごく評価したいんです。分からないことを認めて、すぐに確認する。それができる人間が一番伸びると思っています。

逆に一番困るのは、分からないのに「分かったふり」をしてしまうパターンです。これは新人だけじゃなく、ベテランでも油断すると起きます。長く現場に出ていると、「これくらいなら大丈夫だろう」という思い込みが一番危ない。だからこそ、入社したばかりの頃にこの習慣をつけてもらうのがすごく大事なんですよね。

うちでは、現場から戻ってきた後に必ず簡単な振り返りをする時間を作っています。うまくいったこと、迷ったこと、次はどうするかを一つずつ話してもらう。この振り返りが、実は本人の成長にとって一番効くんじゃないかと最近感じています。

お客様との会話で学ぶことの方が多い

その日、現場から帰ってきたその子に「どうだった?」と聞いたら、作業の話よりも先に「お客様が最後にお茶を出してくれて、少し世間話をしました」という報告が返ってきました。これ、実はすごく嬉しい話なんです。お客様が世間話をしてくれるというのは、それだけ安心して任せてもらえたということだと思うんですよね。

うちは技術の会社ですけど、実際にお客様が覚えているのは「あの時来てくれた人、話しやすかったな」みたいな、技術以外の部分だったりします。もちろん作業がきちんとしているのは大前提ですが、そこに安心感が加わると、次にまた声をかけてもらえる会社になるんだと思います。

以前、ベテランのスタッフに聞いた話なんですが、「お客様の家に入った瞬間の空気の読み方」みたいなものがあるそうです。玄関先で少し立ち話がしたい雰囲気の方もいれば、手早く済ませてほしいという雰囲気の方もいる。そういうのは誰かに教えてもらうものじゃなくて、何件も現場をこなしていく中で自然と身についていくものなんだと思います。若手には技術だけでなく、そういう「現場での立ち振る舞い」も含めて一人前になってもらいたいなと、改めて思った一日でした。

送り出す側としての、もう一つの気持ち

正直なところ、私自身も昔、初めて一人で現場に行った日のことをよく覚えています。今から考えると大したことない作業でも、当時はものすごく緊張していました。先輩に教わった通りにやろうとして、逆に手が震えてネジを落としてしまったのを今でも覚えています。あの時の自分と今の若手を重ねながら見ていると、不思議な気持ちになるんですよね。

会社としては、一人で行かせられる人が増えるというのは、もちろん戦力が増えるということでもあります。でもそれ以上に、「この子が一人で現場に立てるようになったんだ」という、ちょっとした感慨の方が強いんです。これから先、失敗することもあると思いますし、それも含めて見守っていくのが社長の役目だなと思っています。

失敗した時にどう声をかけるかも、実はすごく大事だと思っています。頭から怒ってしまうと、次から電話で相談するのをためらうようになってしまう。そうなると一番怖い「分かったふりをする」状態に逆戻りしてしまうんです。だから、たとえ小さなミスがあっても、まずは「連絡してくれてよかった」と伝えるようにしています。これは私自身が若い頃、先輩にそうしてもらって救われた経験があるからなんですよね。

今日も八王子のどこかで、誰かが初めての現場に向かっているかもしれません。そういう一つ一つの積み重ねが、うちの会社を作っているんだなと、しみじみ感じた出来事でした。


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