10月も中旬に入って、ようやく暖房をしっかり使い始めたというお宅が増えてきました。そんな中で毎年この時期に必ずいただくのが「暖房をつけていたら、突然風がピタッと止まって、しばらくしたら冷たい風が出てきた。壊れたんじゃないですか」というお電話です。だいたい決まって、朝の冷え込んだ時間帯か、夜に設定温度を高めにしてしばらく運転したあとに起きることが多いんですが、実はこれ、ほとんどの場合は故障ではなく、エアコンが正常に動いている証拠なんです、という話を今日は詳しくお伝えしたいと思います。
室外機が凍ってしまう「霜取り運転」という仕組み
冬場の暖房は、室外機が外の空気から熱を集めて、それを部屋の中に送り込むという仕組みで動いています。気温が下がって湿度が高い日が続くと、外の熱を集める役割をしている室外機の熱交換器という部分に、どうしても霜や氷がついてしまうんですね。だいたい外気温が0℃から5℃くらいで、しかも空気がしっとりしている日ほど霜がつきやすく、逆に乾燥してカラッと晴れた寒い日は意外と霜がつきにくかったりします。霜がついたままだと熱をうまく集められなくなって、暖房の効きがどんどん悪くなってしまいます。
それを防ぐために、エアコンは一定時間ごとに自動で「霜取り運転(除霜運転)」というモードに切り替わります。このとき室内機の風がいったん止まったり、ごくわずかに冷たい風が出たりするんです。これはエアコン自身が「このままだと効率が落ちるから、一度霜を溶かしておこう」と判断して動いている証拠で、壊れているわけではありません。仕組みとしては、いつもは外の熱を集める側に使っている冷媒の流れを一時的に逆転させて、室外機側にお湯のような熱を送り込んで霜を溶かしています。だからこそ室内側は一瞬「お休み状態」になるわけです。時間にすると数分から10分程度で、霜が取れればまた普通に暖かい風が出てくる、というのがだいたいの流れです。
霜取り運転と故障、見分け方のポイント
とはいえ「本当にこれは霜取り運転なのか、それとも別の不調なのか」が気になる方も多いと思うので、見分け方をお伝えしておきます。ポイントは「止まっている時間」と「その後ちゃんと暖かい風に戻るかどうか」です。霜取り運転であれば、だいたい10分以内には元の暖房運転に戻り、以前と同じくらいの温かさの風が出てきます。リモコンの表示に「除霜」「霜取り中」といった文字やランプが出る機種もあるので、気になったときはリモコンの画面も確認してみてください。表示が出ない機種でも、室外機に近づくと「シュー」という音がしていたり、霜取り中だけ室外機の湯気が立っているように見えることもあります。
一方で、30分以上風が止まったままだったり、戻ってきた風がずっと生ぬるいままだったり、運転中に異音やエラー表示が併発している場合は、霜取り運転とは別の不調が起きている可能性があります。特に、外が晴れていて気温もそこまで低くないのに頻繁に霜取り運転に入っているように見える場合は、室外機のフィルターや熱交換器の汚れ、あるいは冷媒(ガス)の不足といった原因が隠れていることもあるので、そういうときは一度点検を頼んでいただいた方が安心です。また、1日に何度も霜取り運転に入っているように感じる場合も、本来の頻度より明らかに多いことがあるので、「よく止まるな」と感じたら記録をとっておいていただけると診断の手がかりになります。
霜取り運転が多くなりがちな、意外な環境条件
霜取り運転の頻度は、実は室外機が置かれている環境によってかなり変わります。北向きや風の通り道にあって、常に冷たい風が当たりやすい室外機は、どうしても霜がつきやすい傾向があります。また、室外機の周りに物が置かれていて空気の通り道がふさがれていると、熱交換の効率が落ちて霜がつきやすくなり、結果として霜取り運転の回数も増えてしまいます。植木鉢や物置、自転車などを室外機のすぐ前に置いてしまっているお宅は、八王子エリアでも意外と多いんです。
さらに、室外機のすぐ下の地面に水はけの悪い場所があって霜取り運転で出た水が凍りやすい環境だと、今度は氷が室外機の排水口をふさいでしまって、別のトラブルにつながることもあります。特に北側の日陰で、一度凍った水がなかなか溶けない場所に室外機を置いているお宅では、霜取り運転のたびに少しずつ氷が成長してしまうケースもあります。心当たりがある方は、室外機の周り30センチくらいは物を置かないようにしておくこと、そして可能であれば水はけの良い場所や、すのこなどで底上げしてある場所を選んでおくと、霜取り運転の頻度もいくらか落ち着くことが多いです。
霜取り運転のタイミングでできる、ちょっとした工夫
霜取り運転そのものは防ぎようのない正常な動きなので、無理に止めようとする必要はありません。ただ、頻度や影響を小さくする工夫はいくつかあります。まず基本ですが、室内機のフィルターを月1〜2回は掃除しておくこと。フィルターが汚れていると暖房効率自体が落ちて、より長く強い運転を続ける必要が出てくるので、結果的に室外機への負担も増え、霜もつきやすくなります。
それから、暖房を使う時間帯が決まっている方は、霜取り運転で一時的に室温が下がる分を見越して、設定温度を欲張らずにサーキュレーターなどで空気を循環させるようにすると、風が止まった数分間の「あれ、寒い」という感覚もやわらぎます。在宅時間の少し前から暖房をつけておいて、部屋全体をじんわり暖めておくような使い方も、霜取り運転のタイミングで室温がガクッと下がるのを感じにくくする一つの方法です。「突然風が止まる=壊れた」ではなく「エアコンが元気に仕事をしている一場面」だと思って、気にせず見守ってあげていただけたらと思います。もちろん、様子がどうしても気になるときや、止まっている時間が長いと感じたときは、遠慮なくご相談いただければ現地でしっかり確認させていただきます。
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