エアコンから“ピシッ”“パキッ”と音がする…実は故障じゃないことが多いんです、という話

エアコンから“ピシッ”“パキッ”と音がする…実は故障じゃないことが多いんです、という話

夜、エアコンを消したあとに「ピシッ」と音がして、思わずリモコンを二度見した——そんな話を、この時期けっこう聞くんです。結論から言うと、あの手の“単発の音”はほとんどが故障ではありません。今日はその正体と、念のため気にしておきたいラインの話をします。

目次

その「ピシッ」「パキッ」、多くは部品が伸び縮みしている音です

エアコンの本体カバーや内部のパーツは、ほとんどが樹脂(プラスチック)でできています。樹脂は温度が変わると、わずかにですが伸びたり縮んだりするんですね。運転を始めて冷たい風が流れ出すと本体が急に冷やされ、逆に停止すると室温に戻っていく。その温度変化のたびに、部品どうしのつなぎ目やネジ止め部分がほんの少し動いて、「ピシッ」「パキッ」と鳴るわけです。

これは家の柱や家具が夜中に「ミシッ」と鳴るのと同じ理屈で、熱膨張・熱収縮による音と言われています。木造住宅で経験がある方も多いと思いますが、あれのエアコン版だと思ってもらえれば近いです。

特に鳴りやすいのが、運転開始から数分のあいだと、停止してから十数分のあいだ。温度がいちばん大きく動く時間帯だからです。しばらくすると本体の温度が落ち着いて、音もいつのまにか止まっている、というのが典型的なパターンです。冷房と暖房を切り替えた直後にも同じことが起きやすく、「秋になって暖房を初めて入れた日にパキパキ鳴った」という声は毎年いただきます。

音の大きさや回数は、その日の気温や湿度、部屋の使い方でわりと変わります。同じエアコンでも「昨日は静かだったのに今日はよく鳴る」ということが普通に起きるので、日によってばらつくこと自体は、むしろ伸び縮みの音らしい特徴だと思ってもらって大丈夫です。

季節の変わり目に、この音が増えたように感じる理由

「前は気にならなかったのに、最近よく鳴る気がする」という相談は、春と秋に集中します。理由はシンプルで、朝晩と日中の気温差が大きい季節だからです。日中に部屋が暖まって本体もぬるくなり、そこへ冷房を入れると温度差が一気に開く。差が大きいほど部品の動きも大きくなって、音が出やすくなります。

設置場所の影響も出ます。西日がまともに当たる壁面や、天井に近い高い位置にある室内機は、本体そのものが熱を持ちやすい。そこへ運転をかけると、ほかの部屋のエアコンより派手に鳴ることがあります。同じ機種でも部屋によって鳴り方が違うのは、だいたいこのあたりが理由です。

あとは単純に、静かな時間帯ほど耳につくというのもあります。日中は気づかない程度の音でも、寝室で夜に一人で聞くと妙に大きく感じるものです。「増えた」のではなく「聞こえる条件がそろった」だけ、ということも実際には多いです。

心配いらない音と、見てもらったほうがいい音の分かれ目

目安として、不規則にポツン、ポツンと単発で鳴り、運転が安定するとおさまるなら、まず様子見で大丈夫です。回数が日によって違ったり、鳴ったり鳴らなかったりするのも、その日の温度条件しだいなので自然なことです。

逆に気にしてほしいのは、「一定のリズムで連続して鳴り続ける」「ファンが回る音に合わせてカラカラ、ガリガリと擦れる音がする」「本体が目に見えて振動している」といったケースです。これは樹脂の伸び縮みではなく、ファンや軸受けなど“動く部品”側のトラブルが疑われます。

それから、音そのものより“セットで起きていること”が大事です。音と一緒に、風がほとんど出ない・水がポタポタ落ちてくる・焦げたようなニオイがする・ブレーカーが落ちる——このどれかが重なっているなら、音の種類にかかわらず一度点検を頼んだほうが安心です。単独の「ピシッ」だけなら、あわてる必要はありません。

それでも気になるときに、自分でできること

まずはフィルターの掃除です。ホコリが詰まると本体に無理がかかり、各部の温度も上がりやすくなって、結果的に伸び縮みの音が出やすくなります。二週間に一度くらいを目安に、掃除機でホコリを吸うだけでもだいぶ違います。

次に、風量を「自動」にして、設定温度を極端に下げすぎないこと。いきなり18度などにすると本体が急激に冷え、温度差が大きくなって音も出やすくなります。夏場なら26〜28度あたりで自動運転にしておくと、立ち上がりがゆるやかになって音も落ち着きやすいです。

もうひとつ、意外と効くのが本体の固定を確認することです。取り付け金具と壁のあいだ、あるいは本体と据付板のあいだにわずかな遊びがあると、伸び縮みの動きが音として増幅されることがあります。手でそっと本体の下側を押してみて、カタッと動くようなら、点検のときにひとこと伝えてもらえると調整で静かになるケースもあります。ただし強く揺すったりはしないでください。

それでも気になるなら、いつ・どんなときに・どんな音が鳴ったかを簡単にメモしておいてください。「冷房を止めて10分後にピシッと一回」といった記録があると、点検に伺ったときの原因の切り分けがぐっと早くなります。無理にカバーを外して中を触るのだけは、けがや故障のもとになるので避けてくださいね。

季節の変わり目のこの時期、こうした音の相談はほんとうに多いです。ほとんどは「よくある話」の範囲なので、まずは落ち着いて、上のポイントだけ頭の片隅に置いてもらえたらと思います。

まとめ

エアコンの「ピシッ」「パキッ」は、その多くが部品の伸び縮みによる、いわば“建物のきしみ”のような音です。単発で、運転が落ち着くとおさまるなら心配いりません。ほかの不調と重なったときだけ気をつけておけば十分ですので、必要以上に怖がらずに付き合ってもらえたらうれしいです。


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