現場に行くと、軽トラの荷台を見ればその人の段取りが分かる、なんて言う先輩がいるんです。今日はその荷台の話を、少しだけ真面目にしてみようと思います。
それに、荷台の高さや車体の重さは、軽トラでも車種や年式でけっこう違います。同じ積み方でも、古い車は足回りがへたっていて、思った以上に揺れることもある。自分の車がどれくらい揺れやすいか、一度空荷で走ってみて感覚をつかんでおくと、積んだときの判断がずいぶん正確になります。
「ちょっとだけだから」が一番危ない
配管材を一本、ボードを二枚、ついでに脚立を積んで現場を回る。そんな日、正直ありますよね。近所の現場への移動だと思うと、ロープを一本かけて「まあ大丈夫だろう」で出発してしまう。私も若い頃は、同じことをやっていました。
ただ、荷崩れによるトラブルは遠くの高速より、こういう短距離の移動で起きやすいと言われています。急ブレーキや、カーブでの遠心力で、荷物はちゃんと積んだつもりでも動いてしまう。特に軽トラは荷台が低くて車体も軽いぶん、急な横揺れで荷物が飛び出しやすいんです。
だから、「ちょっとだから」と思った時こそ、出発前にもう一度だけ荷台を見てほしいんです。見る場所は三つ。重い物が手前か奥か、長い物がちゃんと固定されているか、そして最後に荷台の外へはみ出していないか。この三つを指差し確認みたいにやるだけで、かなり違います。
重い物は下に、軽い物は上に。それだけで変わる
積み方の基本は、重い物を床に近く、キャブ(運転席)寄りに置くことだと思うんです。キャブ寄りは車の重心に近く、急ブレーキのときも荷物が前に飛び込んできにくい。逆に、重い物を荷台の後ろに高く積むと、車体がふわっと揺れたときに一気に荷崩れします。
よくあるのが、塩ビ管の束やケーブルのドラムを後ろに積んで、その上に工具箱を載せてしまうパターンです。工具箱は軽く見えても、角がある分、固定しないと一番あばれる。工具箱はできれば床に近い位置に置いて、箱同士をすき間なく並べる。すき間があると、そこで荷物が動き出すんです。
あと、脚立は寝かせて積むより、立てかけるか専用のホルダーに縦で固定したほうが、ふらつきが少ないです。寝かせると荷台の上でずれて、他の荷物を押し出すことがある。現場の段取りのなかで、積み込みの向きまで一緒に考えるとずいぶん楽になりますよ。
ロープとベルトは「締めた後」が勝負
荷物を固定するラッシングベルトやロープは、締めた直後より、少し走ったあとに一度見直すのが大事です。ロープは走行中の振動で少しずつゆるみますし、ベルトも荷物が落ち着いて初めて本当の張りがわかる。最初の信号待ちで一度車を降りて、荷台を軽く揺すってみる。それだけで、ゆるみに気づけることが多いです。
それから、ロープの結び方も意外と差が出ます。ほどけにくい結び目を覚えておくのは当然として、端が余りすぎて風でばたつくと、それ自体が周りの車や歩行者にとって危ない。端は短くまとめて、荷台の外に垂らさない。当たり前のことなんですけど、忙しい日ほど抜けがちなんですよね。
もし、ベルトの金具や爪が傷んでいたり、ロープが毛羽立っていたりしたら、その時点で交換してしまってください。使えるうちは使う、という考え方は道具全般にあると思いますが、固定具に関しては「まだ大丈夫」の判断がいちばん当てにならないと私は感じています。
「ちゃんと積めた」を、仲間同士で見せ合う
一人親方だと、自分の荷台は自分しか見ない。だからこそ、ふとした時に若い子や協力業者の仲間の車を見たら、「あ、そこ緩いよ」と声をかけ合えるといいなと思います。きついことを言うと角が立つかもしれないけど、荷崩れで誰かが怪我をしてからでは遅いですから。
職人PRIDE(プライド)の仲間同士でも、現場の安全の話は自然に出せるとお互いに助かりますよね。「この固定の仕方、どうやってる?」と聞くだけで、同じ現場を回る人同士の安全意識はずいぶん上がると思っています。
雨の日と、荷降ろしのあとの確認
雨の日は、同じ固定でも滑りやすさが変わります。濡れた床材や塗装された金属の上では、荷物がじわじわ動いてもなかなか気づけない。雨の日は普段より一段ゆるめに締めてしまいがちなので、むしろ固定を増やすくらいの気持ちで積んでほしいと思っています。ビニールシートをかけるなら、中の荷物がシートの下でずれないかも一緒に見ておくといいですね。
もう一つ見落としがちなのが、荷降ろしのあとです。現場で荷物を下ろしたら、そのまま固定具を外して放置しがちですが、ベルトやロープは外したあと、荷台の隅にまとめて、次に使うときにすぐ手に取れる場所に戻しておく。雑に投げ込んだ道具は、次の現場で絡まって、結局その場で時間をとられることが多いんです。片付けの一手間が、次の段取りを助けるという話ですね。
こういう小さな習慣は、ひとりで続けるとどうしても甘くなります。だから、同じ車で動く若い人がいるなら、一緒に荷台を見るところから始めてみてください。「どう積んだ?」と聞くだけで、お互いの確認の目が自然に増えていきますよ。
荷台の確認は、誰かに言われてやるものではなく、自分の手で自分の現場を守るための習慣だと思うんです。派手な工夫じゃなくていいから、毎回同じ手順で見る。それが結局いちばん効いてきます。
荷台を見る数十秒が、その日の安全を左右することもある。今日の出発前に、ぜひ一度だけ後ろを振り返ってみてください。

