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フレアナット、感覚だけで締めてませんか?トルクレンチが教えてくれる「ちょうどいい」の話

フレアナット、感覚だけで締めてませんか?トルクレンチが教えてくれる「ちょうどいい」の話

「フレア加工は経験だよ、感覚だよ」って言う職人さん、うちの現場にもいますし、正直僕も若い頃はそうでした。でも最近、漏れのトラブルを何件か振り返ってみると、けっこうな割合が「締めすぎ」か「締め足りない」のどちらかなんですよね。感覚に頼るって、実はけっこう危ない橋を渡ってるんじゃないかと思ってます。

締めすぎで割れる、締め足りなくて漏れる、その紙一重

フレアナットって、力任せにガンガン締めれば安心、というものじゃないんです。銅管のフレア面はそこまで頑丈じゃないので、締め付けトルクが強すぎると、繋いだ瞬間はしっかり密着していても、時間が経ってから微細なクラックが入ることがあります。これが厄介で、施工直後の気密試験では異常なしなのに、数ヶ月後にじわじわガス漏れしてくるパターンです。原因を探るのに苦労した、という話を先輩から聞いたこともあります。

逆に「なんとなくこれくらいかな」で緩めに終わらせると、最初から冷媒がゆっくり漏れ続けます。真空引きも試運転も問題なく終わったのに、半年後にお客様から「効きが悪くなった」と連絡が来て、原因を辿るとフレアの締め不足だった、というのも一人親方あるあるじゃないでしょうか。締めすぎと締め足りない、この紙一重の加減を「手の感覚」だけで毎回再現するのは、正直ベテランでも難しいと思うんです。

しかも厄介なのは、その日の体調や気温によって、手が覚えている「いつもの力加減」が微妙にブレることです。夏場の炎天下で汗だくになりながら締めるのと、冬の朝、手がかじかんだ状態で締めるのとでは、同じ「いつも通り」のつもりでも実際に伝わる力はかなり違うはずなんですよね。感覚に頼るというのは、そういう外的要因の影響もまるごと受け入れているということでもあります。

トルクレンチを使うと、何が変わるのか

配管サイズごとに推奨される締め付けトルクの目安は、メーカーの資料や工具メーカーの早見表に載っていることが多いです。それに合わせてトルクレンチで締めれば、「今日はいつもより力が入ってた」「疲れてて緩めに締めちゃった」みたいなブレがなくなります。これが一番大きいメリットだと思うんですよね。感覚じゃなくて数値で管理できるから、誰が締めても同じ仕上がりに近づける。

それに、トルクレンチを使うと「カチッ」という感触で規定値に達したのが分かるので、次の作業に自然と気持ちが切り替わります。感覚だけで締めてると、無意識に「もうちょっと、もうちょっと」ってさらに力を入れてしまうことがあるんですが、その「もうちょっと」が一番危ないんです。道具に線引きを任せることで、自分の癖を修正できるというのは、地味だけど大事なポイントだと思います。

若い衆に教えるときにも、トルクレンチがあると説明がぐっと楽になります。「このくらいの感じで」だと伝わりづらいですが、「カチッと鳴るまで」という基準があれば、経験の浅い人でもある程度一定の品質で締められるようになります。技術の継承という意味でも、数値化できる工程はできるだけ数値化しておいた方が、教える側も教わる側も楽になるんじゃないかなと思います。

現場でよくある「あるある」ミス

よく見かけるのが、フレアナットの座面にゴミや金属粉が挟まったまま締めてしまうケースです。これがあると、いくら正しいトルクで締めても密着しきらず、微妙な隙間からガスが漏れます。締める前に指で座面を触って、バリや粉が残ってないか確認する、このひと手間を惜しんで後悔した人、うちの周りにも結構いますよ。

あとは、フレア加工そのものの仕上がりが甘いのに、トルクだけ正しく締めて安心してしまうパターンです。フレアの広がりが均一じゃなかったり、傷や割れが入っていたりすると、規定トルクで締めても密着面が均等に当たらないので漏れます。トルク管理はあくまで「正しく加工されたフレア」が前提だということは、忘れずにいたいところです。逆にいうと、フレア加工の精度を上げる練習と、トルク管理をセットで意識することで、初めて漏れのリスクをぐっと下げられるんだと思います。

もう一つ地味に見落とされがちなのが、締めた後の増し締めのタイミングです。運転開始直後は温度変化で配管がわずかに膨張・収縮するので、時間を置いてから増し締めを確認する、という手順を組み込んでいる職人さんもいます。締めっぱなしで終わらせず、最後にもう一度チェックする一手間が、後々のクレームを防ぐことにつながっているように思います。

道具への投資は、信用への投資でもある

トルクレンチって、決して安い道具ではないですし、「今まで感覚でやってきて問題なかったから」と後回しにしている人も多いと思います。ただ、一度でも漏れのクレーム対応で現場に呼び戻されたり、保証期間内の再工事をタダでやることになったりすると、道具代なんてあっという間に元が取れるくらいのコストがかかってしまいます。そう考えると、トルクレンチはコストじゃなくて、自分の仕事の再現性を保証してくれる保険みたいなものかもしれません。

職人PRIDE(職人プライド)の会員さんの中にも、若い頃は感覚派だったけど、あるトラブルをきっかけにトルク管理に切り替えたという方が何人かいらっしゃいます。「あの時からクレームがぐっと減った」という声を聞くと、やっぱり数値で管理できる部分は数値に任せて、自分の感覚や経験は別のところ、例えば現場の段取りや判断力に振り向けた方がいいのかもしれないなと、僕自身も改めて思わされました。

感覚は大事にしつつ、数値で管理できるところはきっちり管理する。そのバランスが、長く信頼される職人さんの共通点なんじゃないかなと思っています。

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