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渡り線の締め付け、テスターで導通見て終わりにしてませんか?端子のゆるみが火を招く話

渡り線の締め付け、テスターで導通見て終わりにしてませんか?端子のゆるみが火を招く話

エアコンの取り付けで、室内機と室外機をつなぐ渡り線。芯線を端子台に差し込んで、ドライバーでビスを締めて、テスターで導通を見て、通線チェックのランプが点いたら——そこで結線を「よし、終わり」にしていませんか。じつはこの渡り線の締め付けって、エアコン工事の中でも、雑にやると火事に直結しかねない、数少ない工程なんです。今日はそのあたりの話をさせてください。

たった一本のゆるみが、なぜ焼損まで進んでしまうのか

端子がゆるむと、銅線と端子の当たっている面積が減ります。流れる電流は同じでも、接触している部分の抵抗が上がるので、その一点だけがじわじわ発熱するんですね。発熱量は電流の二乗に抵抗をかけたぶんなので、ちょっとの抵抗増加でも、狭いところに熱が集中してしまう。

やっかいなのはここからで、発熱すると端子台の樹脂やビスが熱で膨らんだり縮んだりを繰り返します。その伸び縮みでビスがさらに戻って、またゆるむ。ゆるむと余計に発熱する、という悪循環に入っていくんです。ある日、被覆が溶けて炭化し、粉が吹いて絶縁が落ちて、最悪のケースでは端子台から出火する。決して大げさな話じゃなくて、古い機械の入れ替えで端子台を開けると、茶色く焼けた跡に出くわすことは珍しくありません。

しかもエアコンは起動のたびに大きな電流が流れて、負荷の変動が激しい機械です。ゆるみが「育ちやすい」条件がそろっている。だから引き渡した直後は何ともなくても、半年、一年と経ってから症状が出る。これが渡り線の怖いところだと思うんですよね。

現場でありがちな「甘い結線」のパターン

いちばん多いのが、より線をねじらずにそのまま差し込んで、素線が数本、端子の外にヒゲみたいに飛び出しているやつです。締め付けても実際は線の半分しか噛んでいなくて、残りは遊んでいる。断面が減っているので、そこが熱を持ちます。隣の端子にヒゲが触れれば短絡やトラッキングの元にもなる。

次に多いのが被覆の噛み込みです。ストリップが短くて、銅じゃなくビニールの部分を一緒に締めてしまっている。ビニールは時間が経つと痩せるので、噛み込んだぶんだけ確実にゆるみます。逆に、力任せに締めすぎて素線を切っていたり、ビスの頭をなめていたりするのもよく見ます。ストリップのときにニッパーやワイヤーストリッパーで素線を傷つけて、細い切り欠きが入っているのも危ない。見た目は繋がっていても、そこが弱点になって、振動と熱でいずれ折れます。

もう一つ、意外と見落とすのがVVFの単線を無理に曲げ癖のついたまま押し込んで、端子の中で線が浮いているケース。ビスは効いているように見えるのに、線が奥まで入っていない。差し込み型の端子なら、ストリップゲージ通りの長さに切って、まっすぐ奥まで入れる。この基本を面倒くさがると、あとで痛い目を見ます。

手を動かす順番を決めておくと、抜けがなくなる

私がおすすめしたいのは、結線の手順を毎回同じ流れに固定してしまうことです。まずストリップ長は端子台の指定通りに。長すぎると隣の相と近づくし、短いと噛みが浅い。より線はしっかりねじって、指定があれば棒端子(フェルール)や丸端子を圧着してから留める。ひと手間ですが、素線のバラけと被覆噛み込みがまとめて防げます。

締めたら、一呼吸おいてから必ず増し締めをします。銅は締めた直後に少しなじんで沈むので、一回では決まらないんです。トルクドライバーがあれば機器の規定値で、なければ「効いた感触が来てから、さらに四分の一回転」を自分の基準として体に入れておく。人によって握力も感覚も違うので、数字か回転角か、どちらかの物差しを持っておくと安定します。

最後に、軽く線を引っぱって抜けてこないか、左右に振ってビスや線が動かないかを確認する。端子カバーは必ず元通りに戻す。そして結線が終わった状態の端子台を、スマホで一枚撮っておくことをおすすめします。あとで「配線がおかしい」と言われたときに、自分の仕事を証明できる。地味ですが、一人親方にとっては身を守る記録になります。

引き渡し前と、再訪問のときに「端子を見るクセ」をつける

試運転のときは、暖房を全開にするなど負荷をかけた状態で、端子台に手をかざしてみる。非接触の温度計があれば各端子をなぞって、一箇所だけ明らかに熱いところがないか見る。全体がほんのり温かいのは普通ですが、一点だけ突出して熱いのは黄信号です。その場で開けて締め直したほうがいい。

既存機の点検や入れ替えで端子台を開けたときは、変色(茶色い焼け跡)、飴色に変質した被覆、独特の焦げ臭いにおい、この三つを毎回チェックする習慣をつけてください。見つけたら、その場の増し締めだけで済ませずに、端子台ごと交換や機器側の点検を提案したほうが安全です。一度熱で傷んだ樹脂と銅は、締め直しても元には戻りません。

入れ替え工事だと、数年前の自分の仕事に当たることもあります。開けてみて「あの頃は増し締めまで意識してなかったな」と思うなら、それはやり方をアップデートする合図です。職人プライドの仲間内で話していても、結線の流儀は人それぞれで、棒端子派もいれば直締め派もいる。聞いてみると案外発見があるので、こういう地味な工程こそ、横のつながりで情報交換する価値があると思っています。

渡り線の締め付けは、誰も褒めてくれないし、仕上がりの写真にも写らない工程です。でもここを丁寧にやれるかどうかが、十年後にお客さんの家で「何も起きない」という、いちばん大事な結果につながる。職人PRIDE(プライド)の会員のみなさんなら、きっと同じ感覚を持ってくれていると思います。次の現場、端子カバーを閉める前に、もう一度だけドライバーを当ててみてください。それだけで防げる事故が、たしかにあります。

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