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「見て覚えろ」だけじゃもう伝わらない、若手への技術の教え方

「見て覚えろ」だけじゃもう伝わらない、若手への技術の教え方

お盆が明けて、また現場が動き出しましたね。この時期になると、今年入ってきた若手が少しずつ一人でできる作業が増えてきて、教える側としても手応えを感じる季節だと思うんです。うちにもそういう若い衆がいるんですが、最近つくづく思うのが「見て覚えろ」だけじゃもう伝わらないよなということなんです。今日はその教え方の話を書いてみようと思います。

「見て覚えろ」が通用しなくなった背景

昔ながらの現場だと、先輩の手元をひたすら見て、盗んで、失敗しながら体で覚えるっていうのが当たり前でした。私自身もそうやって育てられた口ですし、それで身についた感覚は今でも財産だと思ってます。ただ、今の若い衆に同じやり方を求めても、なかなかうまくいかないなと感じることが増えました。

理由はいろいろあると思うんですが、一番大きいのは「なぜその手順なのか」を先に知りたがる子が多いってことだと思うんですよね。昔は理屈より先に手が動いてれば良かったけど、今は「これは何のためにやってるのか」が腑に落ちないと、次の現場で応用が利かないまま終わってしまう。見て覚えるだけだと、その現場限りの再現にしかならないんです。

あと単純に、一日の中で先輩と若手がべったり同じ作業をする時間自体が減ってるっていうのもあります。人手が足りない現場だと、若手に別の作業を任せて先輩は先に別の場所に行ってしまう、なんてこともよくある。「見て覚える時間」そのものが昔より短くなってるんだと思います。

実際にやってみて手応えがあった教え方の工夫

うちで意識してるのは、作業の前に一言でいいから「これから何をやるか」と「なぜその順番か」を口に出すことです。例えば真空引きひとつでも、「時間をかけてる理由は微量な水分やエアを抜くためで、これを省くと後々冷媒に不純物が混ざる原因になる」って一言添えるだけで、若手の受け取り方が全然違うんですよね。手順の意味が分かると、次からその子が自分で考えて動けるようになる。

もう一つ効果があったのが、最初から全部任せるんじゃなくて、工程を小さく切って「ここまでは自分でやってみて」と区切ることです。フレア加工なら、切断とバリ取りだけ先にやらせて、締め付けトルクの感覚は横について一緒にやる、みたいな感じです。丸ごと任せて失敗させるより、小さい成功体験を積ませたほうが自信につながるし、覚えるスピードも早い気がします。

あと、道具の名前や現場用語も、最初は当たり前に使わずに一度きちんと言い換えるようにしてます。「モンキー持ってきて」だけじゃなくて「モンキーレンチ、あのナットを回す工具ね」って添えるだけで、聞き返す手間が減って作業のリズムが崩れにくくなるんです。細かいことですが、これも最初の半年くらいは意識してやる価値があると思ってます。

それと地味に大事なのが、失敗したときの声のかけ方です。頭ごなしに「なんでこうなった」って聞くと萎縮するだけなので、「ここまでは合ってる、ここから違う方向に行った理由を一緒に考えよう」っていう聞き方に変えるようにしてます。これだけで若手の顔つきが変わるんですよ。萎縮してると余計にミスが増えるし、教える側にとっても損なんです。

教える側にとっても学び直しになる

不思議なもので、人に教えようとすると自分の作業を見直すことになるんですよね。長年の経験で無意識にやってる手順を、言葉にして説明しようとすると「あれ、これって何でこの順番なんだっけ」って自分でも改めて考えることがあります。感覚でやってた部分を理屈で説明できるようになると、自分の技術もより確かなものになる気がしています。

それに、若手から「これは何でですか」って聞かれることで、実は自己流になっていた部分に気づかされることもあります。長年やってると、いつの間にか自分なりのショートカットが染み付いていて、それが本当に正しい手順なのか、単に慣れでそうしてるだけなのか、あやふやになっていることも正直あるんです。教えることは一方通行じゃなくて、教える側も学び直す機会なんだなと、この歳になって実感してます。

一人で抱え込まずに、横のつながりで教え合う

とはいえ、自分の現場だけで若手育成の全部を背負おうとすると、正直しんどいです。教え方に正解なんてないし、うちのやり方が他の親方から見たら回りくどいこともあると思うんです。だからこそ、職人PRIDE(プライド)みたいな横のつながりの中で、他の親方がどう若手に教えてるかを聞ける場は本当にありがたいなと思ってます。

同じ職種でも、育て方の工夫って会社によって全然違ったりするんですよね。職人プライドの集まりで他の親方の話を聞くと、「そのやり方いいな、うちでも真似してみよう」って発見が結構あります。ある親方さんは、若手が一人で現場を任されるようになったタイミングで小さな祝いをするようにしてるらしくて、そういうモチベーションの上げ方は自分の現場にはなかった発想だったので、話を聞いてすぐ真似させてもらいました。

一人で試行錯誤するより、こうやって教え方のノウハウも横で共有していけたら、業界全体としての育成力も上がっていくんじゃないかなと思ってるんです。職人PRIDEという場は、腕を磨く情報だけじゃなくて、こういう人を育てる工夫を交換できる場でもあるなと、最近あらためて感じています。

若手を育てるのは時間もかかるし、正直すぐに結果が出るものでもないですけど、教え方を少し工夫するだけで伝わり方は変わってきます。うちも試行錯誤の途中ですが、これからも若い衆と一緒に、教えながら自分も学んでいけたらと思ってます。

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