今日はちょっと地味だけど、めちゃくちゃ大事な話をしようと思います。ろう付けです。冷媒配管をつなぐときに毎回やってる作業ですけど、これがうまくいってるかどうかで、その後のエアコンの寿命がまるっきり変わってくるんですよね。手が覚えてるからこそ、たまに基本に立ち返る価値があると思うんです。
ろう付けで一番多い失敗パターン
現場でよく見かける失敗って、実はだいたい2つに分かれるんです。ひとつは加熱不足による「イモ付け」。ロウ材が管の奥まで回らずに表面だけくっついたように見える状態で、パッと見は問題なさそうなのに、数ヶ月後に微妙なガス漏れとして出てくるパターンです。もうひとつは逆に加熱しすぎて銅管が真っ黒に焼けてしまうケース。見た目が悪いだけじゃなくて、管の中に酸化スケールがびっしり発生してしまうのが本当の問題なんです。
この2つ、原因はどちらも「炎の当て方」に集約されると思っています。ロウ材を差し込む側だけを炙って、受け側の管をちゃんと温めてないと、ロウが流れ込む前に固まってしまう。逆に炎を長く当てすぎると今度は酸化が進む。結局、両方の管を均等に、かつ手早く適温まで持っていく感覚を体に覚え込ませるしかないんですよね。若手に教えるときも、言葉より先に何本も失敗させて、色の変化を目で覚えてもらうのが一番早い気がしています。
あと意外と軽視されがちなんですが、ろう付け前の管の下ごしらえも仕上がりを左右します。切断面のバリを取らずにそのまま差し込んだり、汚れや油分が付いたまま炙ったりすると、いくら炎の当て方が上手くても接合面にロウがきれいに回りません。サンドペーパーや専用のブラシで軽く磨いてから組む、このひと手間を惜しむかどうかで、後々の仕上がりの安定感がかなり変わってくると感じています。
窒素置換をサボると後で必ずツケが回ってくる
これが今日一番言いたいことなんですけど、ろう付け中の窒素置換、時間がないからって省略してませんか。管の中を窒素で満たさずに炎で炙ると、内部で酸化スケールという黒い粉みたいなものが大量に発生します。これがやっかいで、施工した直後は何の症状も出ないんです。エアコンは普通に冷えるし、試運転も問題なく終わる。だから「窒素なしでも別に平気じゃん」って思ってしまいがちなんですけど、実はそこからが怖いところなんです。
このスケール、冷媒と一緒に配管内を巡回して、最終的にキャピラリーチューブや膨張弁みたいな細い部分に詰まっていきます。早ければ半年、遅いと1〜2年後くらいに「効きが悪い」「時々止まる」みたいな不具合として出てくることが多いと言われています。しかも厄介なのは、その頃には施工した現場のことなんて誰も覚えてないし、原因を特定するにも配管を切って中を見るしかない。結果的に、クレーム対応でとんでもない時間を取られることになるんです。
窒素置換って、ボンベと減圧弁を用意して、微量に窒素を流しながらろう付けするだけの作業です。正直、手間としては大したことないんですよね。それでも現場が押してると「今日だけはいいか」ってなりがちなのが人間なので、うちでは窒素ボンベを車に積みっぱなしにして、出す手間そのものをなくす工夫をしています。道具を出すハードルを下げておくと、サボる理由がひとつ減るんです。
ロウ材とフラックスの選び方、地味に差が出るところ
銅管同士の接合ならBCuP系のリン銅ロウ材でフラックス不要というのが基本ですけど、銅と真鍮・鋼材が絡む部分だとBAg系の銀ロウにフラックスを併用する必要が出てきます。ここを面倒くさがって、いつも同じロウ材で済ませようとする人をたまに見かけるんですけど、異種金属の接合でフラックスを省くと、接合部の強度が想定より落ちることがあると言われています。振動が多い室外機まわりの配管だと、そこがじわじわ効いてくる可能性があるんです。
あと意外と見落とされがちなのが管と管のすき間、いわゆるクリアランスです。すき間が広すぎるとロウ材が毛細管現象でうまく流れ込まず、逆に狭すぎても流れが悪くなる。だいたい0.1〜0.2mm程度が目安と言われていて、拡管作業のときにここを意識してるかどうかで、仕上がりの安定感がけっこう変わってくる印象があります。
ろう付け後の確認を「作業の一部」にする
ろう付けが終わったら、窒素で加圧して石鹸水でリークチェックする。これも当たり前のようでいて、時間に追われると省略されがちな工程だと思います。個人的には、ろう付け直後の確認作業までをワンセットの「ろう付け」として捉えるようにしています。接合して終わりじゃなくて、確認して初めて仕事が完了する、という感覚です。
特にベテランになればなるほど「これくらい大丈夫」という感覚が育ってしまう部分もあると思うので、あえて手順を崩さずに毎回同じ確認をルーティン化しておくのは、結果的に自分を守ることにもなると思っています。職人PRIDE(プライド)の会員さんの中にも、こういう地味な工程管理の工夫を持ってる方がたくさんいると思うので、機会があれば現場のやり方を教え合えたら面白いなと思っています。
ろう付けって毎日やってると惰性になりがちな作業ですけど、その一手間が数年後のクレームを防いでくれると思うと、決して省略できない工程だなとあらためて感じています。今日も現場、安全第一でお願いします。

