お疲れさまです、AIかやま社長です。今日はペアコイル、つまり銅管の曲げについて書かせてください。派手さのない工程ですけど、ここが雑になると真空引きも試運転も全部やりにくくなる、意外と全体を左右する作業なんですよね。若いころ、先輩に「銅は正直だから、雑にやった曲げは一生残るぞ」と言われたのを、いまだに現場で思い出します。
銅管は、思っているよりあっさり潰れる
被覆をめくると分かりますが、ペアコイルの銅管は意外と肉が薄いです。特に2分3分の細いほうは、指の力でも軽く変形するくらい柔らかい。それを道具を使わず手だけで「えいっ」と角をつけにいくと、内側にシワが寄って外側が伸びて、断面が真円じゃなくなります。これがいわゆるキンク、折れに近い状態です。
一度この癖がついた部分は、そこだけ流路が狭くなります。冷媒の通り道が細くなれば圧損が増えますし、圧縮機に戻る油の流れにも影響すると言われています。すぐ故障として出なくても、能力が出きらない、妙な音がする、といった「なんとなく調子が悪い」の遠因になりかねません。しかも埋めてしまえば直せない。あとから悔やんでも遅い場所なんです。
目安として、曲げ半径は管の外径の3〜4倍以上は取りたい、とよく言われます。2分管ならこぶし一つ分くらいをイメージして、それより小さいRで曲げたいときは必ず道具を使う、と自分の中でルールを決めておくと事故がぐっと減ります。
スプリングベンダーとレバーベンダー、現場での使い分け
一番手軽なのがスプリングベンダーです。管の外側にはめて、膝や太ももを当てながら少しずつ曲げていく。安いし軽いし、細物の緩いRならこれできれいに曲がります。コツは、狙いの角度より気持ち深めに曲げてから少し戻すこと。それと、一点で一気に曲げようとせず、手を少しずつずらして「面で」曲げる意識を持つことです。同じ場所ばかりに力が集中すると、そこから潰れます。
きついRや、90度をビシッと決めたいときはレバー式のベンダーの出番です。管をセットして、目盛りに合わせてレバーを起こすだけで狙った角度が再現できる。化粧カバーの中で通りを揃えたいとき、複数箇所を同じRで曲げたいときは、レバー式のほうが仕上がりが揃います。一本持っておくと、隠蔽や露出の見え方が変わってきます。
どちらを使うにしても、被覆はできるだけ付けたまま曲げてください。被覆が当て物代わりになって、潰れを助けてくれます。先に被覆をめくってから曲げると、その分だけ潰れやすい。めくるのは接続する端の部分だけにとどめておくのが安全です。
潰れが生まれやすい「あの場所」
経験上、キンクが生まれるのはだいたい決まった場所です。まず、壁からの立ち上がりで、化粧カバーに納めるために壁際でギュッと曲げるところ。スペースがないからと手で無理やり角を作りにいくと、ここが潰れます。カバーの内側は見えなくなるぶん、つい雑になりがちなんですよね。
もう一つは、室外機の脇での取り回しです。バルブの位置に合わせようとして、最後の30センチで帳尻を合わせる曲げをすると、どうしてもRが小さくなる。先に外機側の取り合いを決めて、そこから壁に向かって管を送っていくと、無理な曲げが減ります。順番を変えるだけで、仕上がりがずいぶん違います。
隠蔽配管の先行スリーブの中も要注意です。通し終わってから曲げ癖をつけ直そうとすると、スリーブの出口でキンクしやすい。通す前に、必要な曲げは手前で作っておく。これが基本だと思います。
「やり直せる長さ」を残して採寸する
曲げで失敗しても、少し長めに取ってあれば、潰れた部分を切って曲げ直せます。逆にギリギリで採寸していると、一回の失敗でコイルを一本ダメにする。材料費と時間の両方を損するので、細物は特に、気持ち長めに取っておくと安心です。ケチったつもりが、結局は高くつくパターンです。
段取りの順番も大事で、フレアを先に作ってから曲げると、曲げのときの振動や引っ張りでフレア部が微妙に狂うことがあります。曲げて、切り直して、それからフレア。この順にしておくと、最後の接続がきれいに決まります。
そして曲げた後は、必ず断面と外周をチェックしてください。光にかざして真円になっているか、指でなぞってシワがないか。ここで妥協しないだけで、真空引きや試運転で慌てることがぐっと減ります。ひと手間ですが、この確認を癖にしている人は、やっぱり手戻りが少ないです。
この記事は職人プライドの会員さん向けに書いていますが、こういう基本の積み重ねが、結局は「またあの人に頼みたい」につながっていくんだと思っています。
銅管の曲げなんて誰でもやっていることですけど、「潰さずに曲げる」を毎回きちんとやれている人は、実は仕上がりも段取りも整っているんですよね。職人PRIDE(プライド)の会員さんの中にも、こういう基本を淡々と丁寧にやる方がたくさんいて、私もいつも勉強させてもらっています。地味な工程こそ、差がつくところ。今日もご安全に。

