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「お父さんの仕事、かっこいいね」って言われる職人を、もっと増やしたい

「お父さんの仕事、かっこいいね」って言われる職人を、もっと増やしたい

子どもに「大きくなったら何になりたい?」って聞くと、昔は野球選手だ、大工さんだって声がけっこう返ってきたらしいんです。今はどうかというと、現場仕事の名前ってあんまり上位に出てこない。これって腕の問題でも給料の問題でもなくて、「見え方」の問題が大きいと思うんですよね。今日はそのあたり、ふだん現場で思ってることを書かせてください。

いまだに「3K」でひとくくりにされることへのモヤモヤ

きつい・汚い・危険。いわゆる3Kって言葉、もう何十年も職人の仕事にくっついて回ってます。たしかに夏は暑いし冬は寒い、重いものも持つ。そこは否定しません。でも、その3文字だけで語られると、現場でやってる段取りとか、覚えるのに何年もかかる技術の部分が全部こぼれ落ちちゃうんです。

うちの若い衆にもよく言うんですけど、きつい現場をきついまま我慢してるのは二流で、きつい現場をどう楽にするか考えるのが一流なんです。道具の置き方ひとつ、体の使い方ひとつ、空調服や休憩の取り方ひとつで、疲れ方も危険度もぜんぜん変わる。そういう頭を使う部分が、外からは見えにくいだけなんですよね。

だから「3Kだから人が来ない」で話を終わらせたくない。きつさの中身を分解して、減らせるところは道具や工夫で減らして、それでも残る大変さにはちゃんと正当な対価をもらう。この順番で考えていかないと、いつまでも言葉のイメージに負けたままになると思うんです。

それに、同じ現場でも「大変だった」で終わる日と「うまく段取れた」で終わる日があります。その差を作ってるのは体力じゃなくて経験と工夫の量なんですよね。そこを若い人に見せていけば、3Kという言葉のイメージも少しずつ書き換わっていくはずだと思っています。

世間のイメージは、たいてい現場の外で作られている

面白いもので、職人の仕事にいいイメージを持ってない人ほど、実際の現場をちゃんと見たことがなかったりします。テレビで少し荒っぽい親方が出てくるとか、道端でガラの悪い休憩をしてる集団を見かけたとか、その程度の断片で判断されてることが多いんですよね。

逆に言えば、現場をきちんと見せれば印象は変わるということでもあります。あいさつがちゃんとしてる、車の停め方がていねい、お客さんの家に上がるときに靴をそろえる。技術とは直接関係ない、でも「見え方」を大きく左右する部分。ここを雑にやると、腕がどれだけよくても「やっぱり職人はね」で片づけられてしまう。

僕はこれを、業界全体の信用を一人ずつ預かってるようなものだと思ってます。自分の現場での振る舞いが、まわりまわって「職人という仕事」全体のイメージを作ってる。大げさに聞こえるかもしれませんが、近所の人が見てるのは会社名じゃなくて、そこで動いてる一人の職人の姿なんです。

うちでは現場に入る前に、周りの家に一声かけるようにしてます。「今日から工事に入ります、音が出たらすみません」と。たったそれだけで、クレームの数が目に見えて減るし、後から通りかかったときの目線もやわらかくなる。技術の前に、そういう当たり前のところで信用は積み上がっていくんだと感じています。

「子どもに見せられる現場か」で襟を正す

判断に迷ったとき、僕がよく使う物差しがあります。「この現場、自分の子どもを連れてきて見せられるか」という問いです。整理整頓、言葉づかい、危険な場所の囲い方。子どもの目線で見て恥ずかしくないなら、だいたいその現場は大丈夫。

これは安全管理の面でも効きます。子どもが来たら危ないと感じる場所は、大人にとっても危ない場所なんですよね。工具の出しっぱなし、コードの引き回し、脚立の位置。「まあ大人だから大丈夫」で流してるところに、事故の芽はたいてい残ってる。お客さんも、口には出さなくてもそういう部分をよく見てます。

そしてもうひとつ。実際に子どもが「お父さんの仕事、かっこいいね」と言ってくれる現場を増やせたら、それがいちばんの人材確保だと思うんです。どんな求人広告よりよっぽど強い。今この業界にいる僕らの日々の振る舞いが、10年後の職人の数を決めてる。そう考えると、やっぱり雑にはできないんですよね。

職人PRIDEでやりたいのは、地位の底上げ

職人PRIDE(プライド)というコミュニティをやっていて、ここで一番やりたいのは、単なる仕事の紹介じゃなくて「職人の地位を少しずつ上げていく」ことなんです。一社だけ、一人だけがきれいな仕事をしても、業界のイメージはそう簡単には変わらない。数が集まって、同じ意識で現場に立って、はじめて空気が変わっていく。

具体的に言えば、いい仕事をした職人がちゃんと名前で呼ばれること。値段を買いたたかれずに、技術に対して正当なお金が回ること。困ったときに相談できる横のつながりがあること。この三つがそろえば、若い人が「この仕事、悪くないな」と思ってくれる余地が出てきます。

職人プライドに集まってくれている皆さんは、その意味で仲間だと思っています。競争相手というより、同じイメージを背負って現場に立っている同志。一人ひとりの現場が積み重なって、いつか「なりたい仕事」の上のほうに、また現場仕事の名前が戻ってきたらいい。本気でそう思ってます。

腕を磨くのは大前提として、その腕を世間にどう見せるか、次の世代にどうバトンを渡すか。そこまで含めて職人の仕事だと、僕は思うんです。今日の現場、子どもに見せられる状態になってますか。そんな問いを、たまに自分にも向けながらやっていきたいですね。

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