今日は「ロウ付け」の話をしようと思います。冷媒配管の接続で毎日のようにやってる作業だと思うんですけど、実はここに酸化被膜のトラブルの種が隠れてるんですよね。窒素を流す・流さないで、後々の故障率がけっこう変わってくるっていう、地味だけど大事な話です。
窒素を流さずロウ付けすると、管の中で何が起きているか
銅管をバーナーで炙ると、外側は目に見えて赤くなっていくんですけど、実は管の内側でも同時に酸化が進んでるんです。空気中の酸素と銅が高温で反応して、黒っぽい酸化被膜(スケール)が管の内壁にびっしり張り付く。これ、見た目には全然わからないから、施工した本人は気づかないまま次の作業に移ってしまうことが多いんですよね。
厄介なのは、このスケールがすぐには悪さをしないところなんです。真空引きも効くし、試運転でもちゃんと冷える。でも数ヶ月から数年経った頃に、剥がれたスケールが膨張弁やキャピラリーチューブに詰まって、冷媒の流れが悪くなる。お客さんから「なんか効きが悪くなった」って連絡が来て、点検してみたら膨張弁が詰まってた、っていうパターン、経験ある方も多いんじゃないでしょうか。原因を辿ると数年前のロウ付けに行き着く、っていう厄介な不具合なんです。
窒素置換のやり方、意外と雑になりがち
「窒素は流してますよ」っていう職人さんでも、実はやり方が甘いケースをよく見かけます。ロウ付けする箇所の片側から窒素を流し込むだけで、反対側が開放されてないと、管内の空気がちゃんと押し出されずに滞留してしまうんです。窒素は流してるのに酸化被膜ができてしまう、というのはだいたいこのパターンですね。
コツとしては、ロウ付けする部分より手前で分岐させて窒素を流し込み、反対側の末端は完全に閉じずに少し隙間を開けておく。圧力は0.02MPa前後、ごく弱い流量で十分だと言われています。強く流しすぎると逆に酸素を巻き込んで対流を起こしてしまうこともあるので、「弱く、時間をかけて」が基本です。ロウ付け作業が終わった後も、管がしっかり冷えるまで窒素を流し続けるっていうのも忘れがちなポイントです。炙るときだけ流して、火を止めた瞬間に止めてしまうと、まだ高温の状態で酸化が進んでしまいます。
現場でつい省略してしまう理由と、その言い訳が通じない場面
正直な話、窒素ボンベを現場に持ち込むのは手間なんですよね。台車に乗せて運んで、レギュレーターを組んで、ホースを繋いで、っていう準備だけで数分かかる。小さい増設工事や、急ぎの修理現場だと「今回だけはいいか」ってなりがちなのも、正直よくわかります。
ただ、業務用の大型物件とか、天井裏に配管が隠れてしまう新築案件だと、後から詰まりが見つかってもやり直しが本当に大変なんです。天井をまた開けて、配管を追いかけて、原因箇所を特定して……っていう作業は、最初に窒素を流すコストとは比べ物にならないくらいの手間になる。特に隠蔽配管が多い現場では、「今、数分惜しんだせいで、数年後に半日仕事が発生する」っていう構図になりやすいんです。窒素置換は、見えないところへの投資だと思って習慣にしてしまうのが一番だと思います。
酸化被膜以外にも気をつけたいロウ付けのクセ
窒素の話とあわせて、ロウ付けそのものの技術的なクセにも触れておきたいんですけど、フラックスの使いすぎも実はよくあるミスなんです。フラックスを厚塗りすると、燃焼時に管内に流れ込んで、それ自体が異物として詰まりの原因になることがあります。銀ロウの場合は基本的にフラックス不要な組み合わせも多いので、材料の組み合わせをきちんと確認するのも大事ですね。
あと炙る時間も、長ければいいってものじゃなくて、母材の色が適温(赤みがかったオレンジ色くらい)になったらすぐロウを流し込む。炙りすぎると管が脆くなったり、酸化被膜がより厚くなったりするので、「手早く、確実に」が基本だと思います。ベテランの職人さんほど、炙る時間が短くて仕上がりがきれいだったりするのは、こういう積み重ねなんでしょうね。
窒素以外の対策と、後から確認する手段
どうしても窒素ボンベを持ち込めない現場では、せめて管の切断面をきれいに面取りして、バリを取っておくことだけは徹底したいところです。バリが残っていると、そこに酸化スケールが引っかかりやすくなって、詰まりのきっかけになりやすいんです。窒素なしでロウ付けせざるを得ない場面でも、フラックスの使い方や炙る時間を丁寧にやるだけで、被膜の量はだいぶ変わってきます。応急処置としては、施工後にフィルタードライヤーを標準より少し大きめのものに変えておく、という選択肢もありますね。詰まりの芽を摘む最後の砦みたいな役割になってくれます。
もう一つ意識したいのが、施工記録を残しておくことです。「この現場は窒素を流した」「この現場は流していない」というメモを残しておけば、数年後に不具合が出たときに原因の見当がつけやすくなります。職人プライドの会員さんとも現場で話すんですけど、写真と一緒に簡単なメモを残す習慣がある人ほど、後々のトラブル対応がスムーズだったりするんですよね。小さな記録が、将来の自分やお客さんを助けてくれることもあると思います。
まとめ
窒素置換って、正直地味だし、現場では省略の誘惑がすごく強い作業だと思うんです。でも、見えないところで品質が分かれる典型みたいな工程でもあるんですよね。職人PRIDE(プライド)の会員さんの中にも、こういう基本の積み重ねを大事にしてる方がたくさんいると感じています。今日も一つ一つ、丁寧にいきましょう。

