今日は冷媒回収の話をしようと思います。地味な作業だし、正直「早く終わらせたい」って気持ち、僕もよくわかるんです。でもここを雑にやると、あとで自分の首を絞めることになるんですよね。今日はちょっと真面目にこの話をしてみようと思います。
「大気放出」が当たり前だった時代の感覚、まだ残ってませんか
正直に言うと、僕も若い頃は「ちょっとくらいなら」って感覚で冷媒を逃がしてしまったこと、ゼロじゃないんです。当時はそれが普通というか、先輩からも特に注意されなかった。でも今は違います。フロン排出抑制法という法律があって、業務用エアコンの冷媒はきちんと回収しないといけないと言われています。回収せずに放出すると罰則の対象になり得るとも言われていて、これはもう「知らなかった」では済まされない話になってきています。
厄介なのは、法律が変わったこと自体は知っていても、現場での体に染みついた癖はなかなか抜けないってことなんです。急いでる時ほど「これくらいはいいか」ってバルブを開けたくなる。その一瞬の判断が、後々の信用に関わってくると思うんですよね。特にベテランの職人ほど「昔はこれで良かった」という成功体験が邪魔をして、新しいやり方に切り替えづらいという話もよく聞きます。
逆に言えば、ここをきっちりやってる職人は、それだけで元請けからの評価が変わってくると思うんです。回収証明書をきちんと発行してくれる業者かどうかで、次の仕事を頼むかどうかを決めてる管理会社さんも増えてきていると聞きます。地味な作業が、実は営業になってるんですよね。
回収し忘れが起きやすいのは、実は「小規模な入れ替え工事」
大きな新築現場だと元請けの目もあるし、回収機材もちゃんと用意されてることが多いんです。危ないのはむしろ、家庭用より少し大きい業務用パッケージの単独での入れ替え。急な故障対応で「今日中に何とかしてくれ」って言われて、一人で現場に入って、時間に追われながら作業する時こそ、回収工程を端折りたくなる誘惑が強いんです。
僕が意識してるのは、見積もりの段階から回収の時間をちゃんと工程に組み込んでおくこと。当日になって「時間が足りないから省略」ってならないように、最初から「この現場は回収込みで何時間」と見立てておくんです。これをやるだけで、現場での判断がだいぶ楽になります。逆算して段取りしておけば、焦って判断を誤ることもぐっと減ると思います。
あとは、古い機種ほど冷媒の種類が読み取りにくいこともあるので、事前に銘板を確認しておくのも大事な準備だと思います。現地に着いてから「あれ、これ何の冷媒だっけ」となると、それだけで時間を食ってしまいますから。それに古い機種だと今はもう製造されていない冷媒が使われてることもあって、そういう時こそ余計に回収してリサイクルに回す価値があるんですよね。
回収機の使い方、実は個人差が大きい工程だと思う
回収機自体は今どきそんなに難しい機械じゃないんですが、圧力がどこまで下がったら止めていいか、どのタイミングでボンベを交換するかっていう「勘所」は、意外と人によってバラバラなんです。ベテランほど圧力計の動きを見ながら「あとちょっと粘れば残りが取れる」ってわかってたりするんですが、これは正直、数をこなさないと身につかない感覚だと思います。
若手に教える時も、僕は数値だけじゃなくて「このくらいの速さで針が落ち着いてきたら、そろそろ次の段階」みたいな、感覚的な部分もセットで伝えるようにしてます。マニュアル通りの数字だけ教えても、現場では応用が効かないことが多いんですよね。配管が長い現場と短い現場でも粘るべき時間は変わってくるので、そのあたりの判断力は経験でしか身につかないと思っています。それと、外気温によっても回収にかかる時間はけっこう変わるので、真夏の炎天下でやる時と冬場にやる時とでは、同じ現場でも段取りを少し変えるようにしています。
回収量の記録、面倒でも残しておいた方がいい理由
回収した冷媒量って、記録しておかないといけないと言われています。正直これも「めんどくさいな」って思う気持ち、すごくわかります。でも僕はこれ、自分を守るための記録でもあると思ってるんです。もし後で「ちゃんと回収したのか」って聞かれた時に、記録が残ってれば胸を張って答えられる。逆に何も残ってないと、疑われても反論できないんですよね。
スマホで写真を撮っておくだけでも全然違います。回収機の表示画面とボンベの重量、作業前と作業後、それだけ記録しておけば、後々のトラブルを防げる。手間をかけた分だけ、自分の仕事に対する信用が積み上がっていくんだと思ってます。うちでは現場ごとにフォルダを分けて、写真をまとめておくようにしています。特別なアプリじゃなくてもいいので、まずは残す習慣をつけることが大事だと思うんです。
地味な工程ほど、その人の仕事に対する姿勢が出るものだと思うんです。冷媒回収なんて誰も褒めてくれないし、お客さんに「ちゃんとやってくれてありがとう」って言われることもまずありません。それでも丁寧にやる。そういう積み重ねが、職人PRIDE(プライド)ってものなんじゃないかなと、僕は思っています。誰も見てないところでの仕事ぶりこそ、その人の本当の実力だと思うんです。これからも、地味な工程を疎かにしない職人が、ちゃんと評価される業界であってほしいなと願っています。

