お盆が明けて、また暑い日が戻ってきましたね。この時期にどうしても増えるのが「エアコンから水が垂れてる」っていうクレームなんです。原因を辿っていくと、けっこうな確率でドレン配管の勾配に行き着くんですよね。冷媒配管や電気配線に比べると、ドレンってどうしても後回しにされがちな部分だと思うんですけど、今日はあらためてそこを深掘りしてみようと思います。
「1/100勾配」の感覚、現場でちゃんと再現できてますか
教科書的には「1mにつき1cm下げる」みたいな数字が言われてますけど、正直それを毎回水平器で測りながら施工してる人ばかりじゃないと思うんです。目分量で「なんとなく下がってればいいや」で通してしまうと、天井裏の配管なんかは特に、途中でたわみができて逆勾配の区間ができてしまうことがあるんですよね。
怖いのは、施工直後は水がちゃんと流れてるように見えても、配管が自重でじわじわ垂れてきて、数ヶ月後に逆勾配ができるパターンです。つり金物のピッチが甘いとこれが起きやすくて、僕も過去に「なんで今頃になって水漏れするんだ」という現場で天井を開けたら、配管の中間がお椀みたいにたわんでるのを見たことがあります。つり金物は最低でも1〜1.5m間隔、たわみやすい長尺なら間隔をもっと詰めるくらいの意識でちょうどいいと思ってます。
あと地味に見落とされがちなのが、配管の始点と終点だけ測って満足してしまうケースです。真ん中で一度上がって、また下がっていても数字上は「始点より終点が低い」で帳尻が合ってしまうことがあるので、要所要所で水平器を当てるか、水を実際に流してみて詰まりなく抜けるか確認するくらいのひと手間はかけたいところです。とくに天井裏で配管が野縁や梁をまたぐ区間は、支持点を追加しないと数年がかりでじわっと下がってくることがあるので、そこだけ多めに固定してるベテランも多いんじゃないかと思います。
詰まりやすい環境を先に見抜いておく
ドレンの水漏れって、勾配の問題だけじゃなくて「詰まり」から来てるケースも相当多いんですよね。特に飲食店の厨房まわりや、油煙・ホコリが多い工場、あとは植栽が近くて虫やコケが入り込みやすい屋外露出の配管なんかは、他の現場よりも詰まりのリスクが最初から高いと思って対応した方がいいと思います。
そういう現場では、施工の段階でドレンキャップを取り付けておいたり、将来的に洗浄しやすいように点検口や継手の位置を工夫しておくと、あとあとお客さんからの信頼につながります。「詰まったらまた呼んでください」でもいいんですけど、「詰まりにくいように最初から考えて施工してます」の方が、職人PRIDE(プライド)を持って仕事してる感じがして、僕は好きなんですよね。
あと見落としがちなのが、ドレンホースの取り出し口の高さです。室外機側の排水口ギリギリまで下げてしまうと、大雨の時に排水が逆流して室外機の中に水が回り込むことがあります。取り出し口には多少の余裕を持たせて、排水経路の出口側も含めて水の流れ全体をイメージしておくと事故が減ると思います。厨房まわりだと油分がドレンの内壁にじわじわこびりついて、半年後くらいに急に流れが悪くなることもあるので、そういう用途の建物では最初から太めの径を選んでおくのも手だと思ってます。
更新工事で既設ドレンを使い回すかどうかの判断
入れ替え工事の時、既設のドレン配管をそのまま使うか、新しく引き直すかで悩むことがあると思います。コストと工期を考えると使い回したくなる気持ちはよくわかるんですけど、僕は「配管の中を一度覗けないなら基本は引き直す」くらいの判断基準を持つようにしてます。見えない部分に古い勾配不良や経年のたわみが隠れていて、新しい機器に交換した途端に水漏れが表面化するパターンを何度か見てきたからです。
どうしても既設を使う場合は、最低でも通水試験と、可能であればカメラでの内部確認をしてから引き渡すようにしてます。お客さんからすると「新しくしたのになんで水漏れするの」という話になりがちなので、事前にリスクを説明しておくだけでもクレームの受け止められ方が変わってくるんですよね。
試運転で「見た目」だけの確認になってませんか
試運転の時、ドレンからちゃんと水が出てるかを確認する人は多いと思うんですけど、コップ一杯程度の水を注いで「出た、OK」で終わらせてしまうと、実は途中の緩勾配区間を見逃してしまうことがあります。理想を言えば、ある程度まとまった水量を一気に流し込んで、排水にかかる時間や排水音の変化まで確認できると精度が上がります。
特に長い横引き配管がある現場では、水を流した直後の勢いだけでなく、流れ切るまでの時間もチェックポイントになると思います。想定より排水に時間がかかっている場合、どこかに緩勾配やたわみが隠れている可能性があるので、その場で気づけるかどうかが後々のクレームを左右するんですよね。ドレンアップ機構がついている機種なら、ポンプが正常に持ち上げてくれているかも音や振動で確認しておくと、後日の呼び出しがぐっと減ると思います。
それでも起きた時、どう向き合うか
どれだけ丁寧に施工しても、経年劣化やお客さん側の使用環境の変化で水漏れが起きることはあります。そういう時にどう対応するかで、次の仕事につながるかどうかが変わってくると思ってます。原因をきちんと説明して、応急処置と恒久対策を分けて提案する。当たり前のことなんですけど、これができる職人とできない職人の差って、意外と大きいんじゃないかなと思うんです。
うちも職人PRIDEというコミュニティを通じて、こういう「地味だけど大事な工程」の情報交換ができたらいいなと思ってます。ドレン配管なんて誰も褒めてくれない部分ですけど、そこをちゃんとやってる職人ほど、長い目で見るとお客さんからの信頼が厚いなと感じることが多いです。
今日も暑い中お疲れさまでした。派手さはないところですけど、こういう基本の積み重ねが、結局は自分の仕事を守ってくれるんだと思います。

