脚立から落ちた、高所で足を滑らせた、配管の重さで腰をやった。現場で働いてれば、そういう話は一度や二度は耳にしてると思うんです。でも「自分は大丈夫」って、意外とどの職人さんも思ってるんですよね。今日はちょっと地味だけど大事な、一人親方の保険の話をしたいと思います。
会社員と一人親方、守られ方がそもそも違う
会社に雇われてる従業員さんなら、仕事中のケガは労災保険で治療費も休業補償も出ます。これは会社が入ってる保険なので、本人は何もしなくても守られてる状態なんですよね。ところが一人親方って、法律上は「事業主」扱いなので、本来この労災保険の対象から外れてしまうんです。
これ、現場に入ってると意外と実感しづらいんですよね。元請けさんの現場で、同じように脚立に登って、同じように高いところで作業してるのに、隣で作業してる従業員さんは守られてて、自分は何もなければただの自己責任。この差って、ケガをして初めて気づく人が多い気がしてます。うちの職人プライドの会員さんの中にも、独立したてのころは知らなかったっていう人、実はけっこう多いんです。
しかも厄介なのは、健康保険で治療は受けられても、仕事中のケガだと「労災扱いになるので健康保険は使えません」って窓口で言われるケースがあることです。労災に入ってなくて、健康保険も使えないとなると、治療費を全額自己負担しなきゃいけない場面も出てきます。ここを知らずに現場に立ち続けてる人、想像以上に多いんじゃないかと思ってます。
「特別加入」っていう仕組み、名前だけでも覚えといてほしい
そこで用意されてるのが、一人親方向けの労災保険の「特別加入」っていう制度です。労働保険事務組合とか、一人親方向けの団体を通して加入する形になってて、保険料を自分で納めることで、従業員さんと同じような労災の補償を受けられるようになるって言われています。年間の保険料は、加入する団体や補償の範囲によって差がありますが、月々数千円程度からのプランもあるみたいです。
正直、毎月払うお金があるなら工具や材料に回したいって気持ち、すごくわかります。でも考えてみてほしいのは、もし現場で大きなケガをして、数ヶ月仕事ができなくなったときのことなんです。一人親方って、休んだ分がそのまま収入ゼロに直結します。その間の生活費、家族がいればなおさら、どうやって乗り切るのかっていうのは、保険料の何倍もの話になってくるんですよね。
それに、この保険料はきちんと経費として計上できるって言われています。確定申告のときに「これは事業を続けるための必要経費なんだ」って胸を張って書ける費用が一つ増えるって考えると、少し前向きに捉えられる人もいるんじゃないでしょうか。
元請けから「入ってますか」って聞かれる時代になってきた
最近感じるのは、現場によっては元請けさんの方から「労災の特別加入、していますか」って確認されるケースが増えてきたなということです。安全管理の意識が業界全体で上がってきてる中で、未加入だと現場に入れてもらえない、なんて話も聞くようになりました。これはもう、個人の自己責任の範囲を超えて、仕事を受けるための最低限の準備になりつつあるんじゃないかと思ってます。
もう一つ、地味に大事なのが「一人親方って本当に一人で作業してたの?」っていう証明の問題です。特別加入してると、作業の実態を示す書類が必要になったりして、それが結果的に自分の働き方をきちんと記録しておく習慣にもつながります。これ、確定申告のときの経費管理にも通じる話で、面倒に見えることが実は自分を守る記録になってるんですよね。
入るタイミングと、見直すタイミング
特別加入は、基本的には加入手続きが終わった後の事故からしか補償されません。だから「ケガしてから入ろう」は通用しないんです。独立したタイミング、もしくは今まさに未加入だったって気づいたこのタイミングが、一番動きやすいときだと思います。
すでに入ってる人も、補償額の設定を独立当初のまま放置してないか、一度見直してみるのをおすすめします。仕事の規模が大きくなって収入が上がってるのに、補償額が低いままだと、いざというときに生活を支えきれない可能性もあります。年に一度、確定申告のタイミングとかで一緒に見直すクセをつけておくと忘れにくいと思います。
あと、意外と見落とされがちなのが、現場の移動中の扱いです。自宅から現場への移動や、現場から現場への移動中の事故も、加入の仕方によっては補償の対象になるケースがあるって言われています。どこまでカバーされる契約なのか、加入するときに団体の窓口でしっかり確認しておくと、いざというときに「思ってたのと違った」ってことになりにくいと思います。
備えは、長く現場に立ち続けるための準備
ケガしないのが一番ですけど、現場仕事である以上、絶対はないんですよね。だからこそ、備えの話は縁起でもないじゃなくて、長く現場に立ち続けるための準備として、今日ちょっとだけ頭の片隅に置いといてもらえたらうれしいです。
一人親方は、自分の体がそのまま資本です。その資本を守る手段の一つが、こういう保険の仕組みなんだと思います。工具はいくらでも買い直せますけど、体だけは買い直しがきかないんですよね。だからこそ、後回しにしがちなこの手続きを、今日のタイミングで一度見直してもらえたらなと思ってます。職人PRIDE(プライド)でも、こういう地味だけど大事な話、これからも拾っていきたいと思ってます。

