現場仕事って、つい黙々と作業することが多くて、気づいたら一日誰ともろくに言葉を交わさずに終わってた、なんて日もあると思うんですよね。それはそれで集中できていいことなんですけど、今日は「ありがとう」という一言について、ちょっと考えてみたいんです。
材料を渡してくれた人、段取りしてくれた人
エアコン工事でも電気工事でも、現場に出る職人さんは一人で全部やってるわけじゃないと思うんです。材料を発注してくれる人、搬入してくれる人、前の工程をちゃんと仕上げてくれた職人さん。自分が作業しやすい状態を作ってくれてる人が、必ず前にいるんですよね。
これって当たり前すぎて、普段あまり意識しないと思うんです。でも「今日の現場、やりやすかったな」って思う日は、だいたい誰かがちゃんと準備してくれてるんですよね。逆に「段取り悪いな」と感じる日も、誰かのせいというより、連携がうまくいってなかっただけのことが多いと思います。そう考えると、職人同士の仕事って、実は結構つながりで出来てるんだと思うんですよね。配管のルートをわかりやすく印しておいてくれるとか、工具をちゃんと片付けて次の人が使いやすいようにしてくれるとか、そういう地味な気遣いの積み重ねで現場が成り立ってるんです。
感謝を言葉にしない職人の美学、もわかるけど
職人の世界って、あまり感情を表に出さない文化があると思うんです。黙って仕事して、黙って帰る。それが「かっこいい」とされてる部分もあって、私もその気持ち、正直わかるんですよね。べらべら喋るより手を動かせ、という感覚は現場では大事だと思います。
ただ、黙ってることと感謝しないことは、別の話だと思うんです。例えば前の工程をやった人が、ちゃんと養生してくれてたとか、配管の位置をわかりやすく印してくれてたとか。そういう小さい気遣いに対して「助かりました」の一言があるだけで、次もその人は同じように気を遣ってくれると思うんですよね。感謝って、言葉にした分だけ次に返ってくるものだと思うんです。黙ってても伝わるだろう、と思いがちですけど、実際は言わないと伝わらないことのほうが多いと思います。特に初めて組む相手や、たまにしか顔を合わせない協力業者さんとは、言葉にしないと関係が深まっていかないんですよね。
協力業者どうしの関係も、結局は積み重ね
職人PRIDEに登録してくれている協力業者さんたちを見てても、仕事がスムーズに回る組み合わせって、技術力だけじゃなく、お互いへの気遣いができてる関係なんですよね。工期がちょっと厳しい時、無理を言わなきゃいけない場面もあります。そういう時に、普段からちゃんとコミュニケーションが取れてる職人さんとは、驚くほど協力的に動いてもらえることが多いんです。
逆に、普段から連絡が取りづらかったり、感謝の言葉どころか報告すら雑だったりすると、いざという時に助けてもらいにくくなる。これは別に性格が悪いとかじゃなくて、人間関係ってそういうものだと思うんですよね。小さな「ありがとうございます」「助かりました」の積み重ねが、いざ無理なお願いをしなきゃいけない時の信頼になっていくんだと思います。職人プライドというコミュニティを作ってる理由のひとつも、そういう「ちゃんとつながってる関係」を、業種や会社の壁を越えて作れたらいいなと思ってるからなんです。一つの現場で終わる関係じゃなくて、次の現場でも「あの人とまた組みたいな」と思える関係を増やしていきたいんですよね。
自分が「ありがとう」を言われる側になることもある
職人として現場に長くいると、後輩や若い職人から「教えてもらって助かりました」って言われる場面も増えてくると思うんです。その時、素直に「よかった」と思えるかどうかって、実は結構大事なことだと思うんですよね。
ベテランになると、教えることが当たり前になって、感謝されても特に何も感じなくなる人もいます。それも悪いことじゃないんですけど、せっかく言ってもらった「ありがとう」は、ちゃんと受け取ったほうがいいと思うんです。感謝を受け取るのが上手い人のところには、自然と人が相談に来やすくなる。これも、現場での信頼関係を作る、ひとつの技術なんじゃないかなと思います。感謝を素直に受け取れる人は、同時に自分も人に感謝を伝えるのが上手い人が多いなと感じていて、この二つはセットなんだと思うんですよね。
今日の現場で、誰かに「ありがとう」って言いましたか?言われましたか?そんなに難しいことじゃないので、次の現場でちょっと意識してみてもらえたら嬉しいです。小さな一言の積み重ねが、結局は長く気持ちよく一緒に仕事できる関係を作っていくんだと、私は思っています。
感謝が循環する現場は、トラブルにも強い
これは個人的な感覚なんですけど、普段から「ありがとう」が自然に飛び交う現場って、何かトラブルが起きた時の空気がちょっと違うなと感じるんです。例えば想定外の不具合が見つかった時、普段からお互いに感謝を伝え合ってる関係だと、「じゃあどうする」っていう前向きな相談にすぐ切り替わりやすいんですよね。
逆に、普段から感謝もねぎらいもない現場だと、トラブルが起きた瞬間に責任の押し付け合いみたいな空気になりやすい気がします。もちろん技術的な原因はちゃんと突き止める必要がありますけど、まずお互いを尊重する関係があるかどうかで、そのあとの対応のスピードや雰囲気はかなり変わってくると思うんです。だからこそ、普段の「ありがとう」の一言は、トラブルが起きた時の保険みたいなものなんじゃないかなと、私は思っています。

