エアコン工事なんかは特にそうなんですけど、夏前と夏本番は仕事が山ほど来て、逆に冬の一部の時期はぱたっと静かになる。これ、業種によって波の形は違えど、一人親方あるあるだと思うんですよね。忙しい時期に無理して詰め込んで、ヒマな時期はぼーっとしてる。それだと体もお財布も、結局どっちも消耗しちゃうんです。今日はその「波」をどう付き合っていくかの話をしたいと思います。
繁忙期に「全部受ける」が実は一番危ない
依頼が重なると、断るのがもったいない気がして全部引き受けちゃう。これ、気持ちはすごくよく分かるんです。でも詰め込みすぎた繁忙期って、実は一番事故や手戻りが起きやすい時期でもあるんですよね。疲れた状態で最後の一件をこなして、翌日クレームの電話が来る。そういうパターン、現場に長くいる人なら一度は経験あるんじゃないでしょうか。
僕がよく職人さんに話すのは、「繁忙期こそ、受ける件数の上限を先に決めておく」ということです。1日3件が限界なら、4件目の依頼は翌週に回す。目の前の売上を惜しんで無理をすると、結局その後のクレーム対応や体調不良で、もっと大きな時間とお金を失うことになりかねません。上限を決めるのは、売上を諦めることじゃなくて、質を守るための線引きなんです。
それと、繁忙期に受けた仕事の中には、単価が低いのに手間がかかる案件も混ざっていることがあります。忙しい時こそ「これは今受けるべき仕事か」を一瞬立ち止まって考える。件数をこなすことだけに気を取られると、気づいたら疲労だけが溜まって手元にあまり残っていない、なんてことにもなりがちです。
閑散期を「何もない期間」にしない
逆に静かな時期。これを単に「ヒマな時期」で終わらせるか、「仕込みの時期」にするかで、翌年の忙しさの質がだいぶ変わってくると思うんです。道具のメンテナンス、車両の点検、資格の更新や勉強、そして何より営業活動。繁忙期には絶対にできないことを、この時期にまとめてやっておく。
特に営業活動は、忙しい時ほど後回しにしがちですが、実は逆なんですよね。次の繁忙期の仕事は、今の閑散期の動き次第で決まる部分が大きい。取引先への顔出しや、職人PRIDE(プライド)のような協力業者ネットワークとの情報交換も、ヒマな時期だからこそ丁寧にできることです。忙しい盛りに「そういえば最近顔出してないな」と気づいても、もう時間が取れないんですよね。
あと、閑散期は単価交渉のタイミングとしても悪くありません。繁忙期は「今すぐ来てほしい」側の立場が強くて交渉しづらいですが、閑散期は逆に発注側も職人を確保しておきたい時期だったりします。焦らず条件の話ができる、意外と貴重な期間だと思ってください。
波をならすための「仕事の組み合わせ」を考える
一つの業種、一つの取引先だけに頼っていると、波はどうしても大きくなります。エアコン工事なら夏に偏る、というのは分かりやすい例ですが、実は少し視点を変えるだけで波をならせることがあるんです。例えば新設工事メインの職人さんが、メンテナンスや点検の仕事も少し受けられるようにしておくと、繁忙期がずれる分、年間を通しての波が緩やかになったりします。
もちろん、専門性を薄めてまで手を広げる必要はありません。ただ、「隣接するちょっとした仕事」を一つ二つ持っておくだけで、閑散期の収入がゼロに近い状態にはならずに済みます。協力業者として複数の取引先から声がかかる状態を作っておくのも、一つの分散の仕方です。一つの元請けだけに依存していると、その会社の繁閑がそのまま自分の繁閑になってしまいますから。
職人プライドのようなコミュニティに関わっていると、こういう「うちはこの時期が暇だから助けてほしい」「逆にこっちは今忙しいから回せる仕事がある」といった情報が自然と耳に入ってくることもあります。一人で抱え込まずに、周りの職人と波を補い合える関係を持っておくのは、地味だけど効果の大きい工夫だと思うんですよね。
お金の面でも「波」を前提に考える
収入に波があるのは一人親方なら当たり前のことなんですが、生活費の使い方まで波に合わせて振り回されていると、繁忙期に稼いだお金が閑散期にはもう残っていない、というのはよくある話です。繁忙期の売上をその月の生活費として全部使うのではなく、平均的な「自分の月給」を決めて、それ以上の分は別口座にプールしておく。これだけでも、閑散期の資金繰りの不安はかなり減ります。
確定申告の時期になって「今月は入金が多いから」で使ってしまっていたお金が足りない、と慌てる一人親方さんを何人も見てきました。税金や社会保険料の支払いも、繁忙期の売上から少しずつ取り分けておく癖をつけておくと、閑散期に入ってから慌てずに済みます。波があること自体は仕方ないので、波があっても崩れない資金の置き方を先に決めておくのがコツだと思います。
また、閑散期に無理に仕事を作ろうとして、採算の合わない安値案件に手を出してしまうのも避けたいところです。閑散期の資金繰りに余裕があれば、「この単価では受けない」という判断がちゃんとできます。波に振り回されて判断がぶれるのが一番もったいないので、そのためにも普段からの資金の置き方は大事にしてほしいなと思います。
繁忙期は詰め込みすぎず、閑散期は仕込みの時間にする。波そのものをなくすことはできなくても、波との付き合い方は自分でコントロールできる部分がたくさんあります。今年の繁忙期がどんな感じだったか、来年に向けて振り返ってみるのも悪くないタイミングだと思いますよ。

