一人親方でやってると、どうしても「全部自分でやる」のが当たり前になってくるんですよね。それが悪いわけじゃないんですけど、急に大きい現場が入ったり、同じ日に二件重なったりした時に「あ、これ一人じゃ無理だな」って瞬間、誰にでもあると思うんです。そのときどうするか、意外と準備してない人が多いなと感じていて、今日はその話をしようと思います。
「断る」か「無理する」の二択になってませんか
手が足りなくなった時、選択肢がだいたい「仕事を断る」か「無理して一人でやる」の二つしかない、って状態の人、けっこう多いんじゃないかなと思うんです。断れば信用を失うかもしれないし、無理すれば体を壊すかもしれない。どっちも嫌なのに、その二択しか持ってないから毎回苦しい判断をしてる。
でも実際は、この二つの間に「誰かに手伝ってもらう」という第三の道があるわけです。これを選択肢として持っているかどうかで、忙しい時期の過ごし方が全然変わってくると思うんですよね。問題は、いざその時になって急に探しても、だいたい見つからないっていうことなんです。
助っ人は、忙しくなってから探すものじゃない
これ、経験的によく言われることなんですけど、応援を頼める相手って「困ってから探す」んじゃなくて「困る前から目を付けておく」ものなんです。現場で一緒になった業者さんとか、組合や交流会で名刺交換した人とか、普段から「この人の仕事ぶり、ちゃんとしてるな」って見ておいた相手に、暇な時期に軽く「今度うちが詰まった時、少し手伝ってもらえたりします?」って聞いておく。
断られても全然いいんです。聞いておいたという事実が大事で、向こうも「あ、頼られてるんだな」って覚えてくれますし、こっちも「この人になら頼めるな」というリストが少しずつできていく。一人、二人で十分で、何十人も知り合いを作る必要はないと思っています。信頼できる相手が二、三人いるだけで、急な時の心の余裕が全然違ってくるんです。
頼み方・頼まれ方で、その後の関係が決まる
助っ人を頼む時に一番大事なのは、お金の話をちゃんと先にしておくことだと思うんです。「とりあえず来てもらって後で考えよう」というのが一番こじれやすい。日当なのか、作業内容に応じた単価なのか、ざっくりでも構わないので、頼む時点で伝えておく。これをやるだけで、後から「思ってたのと違う」というモヤモヤがかなり減ります。
逆に自分が頼まれる側になった時も同じで、安易に「とりあえず行きますよ」で終わらせず、どういう作業をどこまでやるのか、道具は持参が必要なのかくらいは最低限確認しておく。これは職人PRIDE(プライド)みたいなコミュニティで知り合った相手でも同じで、顔見知りだからこそ、お金の話を曖昧にしたまま進めてしまいがちなんです。親しい相手ほど、最初の一言だけはきちんと交わしておいた方が、長く付き合えると思います。
一人でできる範囲を、自分で決めておく
助っ人を頼む前提として、自分がどこまでなら一人でこなせるのか、ある程度ラインを持っておくことも大事です。「今月はこの件数までなら無理せずいける」というのが感覚でわかっていれば、それを超えそうになった瞬間に「じゃあ今回は頼もう」と動けます。このラインを持たずに来た仕事を全部受けていると、気付いた頃にはもう誰にも頼めないくらい詰まっていて、結局無理をするしかなくなる。
体を壊して何週間も現場に出られなくなったら、助っ人なんて探している余裕すらなくなります。手が足りないと気付いた時点で早めに動く、というのがコツで、ギリギリまで我慢してから慌てて探すと、相手も都合がつかないことが多いんです。余裕があるうちに声をかけておく癖をつけておくと、本当に助かります。
持ちつ持たれつ、で回っていくのが一番続く
助っ人を頼むというのは、一方的にお願いするだけの関係だと長続きしないと思うんです。今回はうちが頼んだけど、来月は向こうが忙しい時に自分が入る、というふうに持ちつ持たれつで回っていく関係が一番自然ですし、気持ちよく付き合えます。頼んだらお礼を言う、ちゃんと払う、現場でも気持ちよく動いてもらえるように道具や材料を揃えておく、そういう細かい気配りの積み重ねが、次に頼みやすい関係を作っていくんだと思います。
反対に、一度だけ便利に使って、こちらが暇な時に相手が困っていても知らん顔、というのをやってしまうと、次に本当に困った時に誰も来てくれなくなります。特に協力業者同士、同じ地域で長く仕事をしていく間柄だと、こういう積み重ねは意外とよく見られているものです。短期的な損得より、長く付き合える関係を優先した方が、結果的に自分の身を守ることにもなると思っています。
一人でも、一人じゃない働き方を目指す
一人親方という働き方は、名前の通り基本は一人で仕事を完結させる前提ですけど、それは「誰にも頼らず生きていく」という意味ではないはずです。むしろ、いざという時に頼れる相手がいるからこそ、一人でやっていく自由さを保てるんじゃないかなと思うんです。手が足りなくなった時の備えがあるからこそ、思い切って大きな仕事を受けられたり、体調が悪い日に無理をせず休めたりする。
これから独立する人や、独立したばかりでまだ横のつながりが少ない人は、最初から助っ人を見つけるのが難しいかもしれません。そういう時こそ、職人PRIDE(プライド)のような会員同士が顔を合わせる場を使って、少しずつ「この人なら頼める」という相手を増やしていくのがいいと思います。焦らず、一人ずつでいいので、顔の見える関係を積み重ねていってほしいです。
一人親方って、どうしても「自分でなんとかする」が染み付いている人が多いと思うんですけど、それと「一人で全部抱え込む」は別の話だと思うんです。頼れる相手を何人か持っておくこと自体が、腕と同じくらい大事な技術なんじゃないかなと、最近よく思っています。職人プライドのつながりの中にも、きっとそういう相手が見つかるはずです。

