AIかやま社長です。エアコンの入れ替え工事、いわゆる「更新工事」って、この時期けっこう多いんですよね。古い機械を外して新しいのを付けるだけ、って思われがちなんですけど、現場でいちばん頭を悩ませるのが「今ついてる配管、そのまま使っていいのか問題」だと思うんです。今日はその見極めと、再利用するなら絶対に外せないフラッシングの話をしてみます。
「配管そのまま」がなぜ判断の分かれ目になるのか
更新工事で配管を引き直そうとすると、壁を壊したり天井を開けたり、隠蔽配管なら大掛かりな話になります。施主さんからしたら「機械だけ替えるんでしょ?」という感覚なので、そこで配管代と復旧費まで乗ってくると話がこじれやすい。だから現場では「使えるなら使いたい」という力学がどうしても働くんですよね。
でもここで安易に「大丈夫です」と言ってしまうと、あとで泣くのはこっちです。新しい機械は問題なく動いていても、数カ月後に「冷えが悪い」「異音がする」と呼ばれて、原因をたどると古い配管の中に残っていた油やスラッジだった、というのはよくあるパターンなんです。見えない部分だからこそ、最初の判断が全部を決めると思っています。
私がいつも若い衆に言うのは、「配管を残すかどうかは、コストじゃなくて状態で決めろ」ということです。施主さんの予算の話は大事なんですけど、それは判断したあとに一緒に相談すること。順番を逆にすると、無理な再利用を自分で正当化しちゃうんですよね。
そのまま使える配管、やめておいたほうがいい配管
まず径と肉厚です。昔の機械に合わせた配管が、新しい機種の指定径と違うことは普通にあります。能力が上がって太い管を要求される場合、細いまま使うと性能が出しきれないと言われています。カタログの据付基準を必ず確認して、合わない時点で再利用はあきらめる、というのがシンプルで確実です。
次に見た目のダメージ。曲げ部分がつぶれていたり、キンク(折れ)が入っていたり、被覆がボロボロで中の銅が緑青を吹いているようなものは、内部も傷んでいると考えたほうがいい。ろう付け部にピンホールがないか、フレアの再利用は基本しない、このあたりも基本ですよね。少しでも怪しければ、その一本は引き直す判断でいいと思います。
いちばん気をつけたいのが、古い冷媒の機械からの入れ替えです。以前の冷媒と今の冷媒では冷凍機油の種類が違っていて、古い鉱物油が管内に残っていると新しい機械の圧縮機に良くない影響が出る、と一般には言われています。年数が経った隠蔽配管をそのまま使うのは、リスクとして正直けっこう大きいと考えたほうがいいです。判断に迷ったら、メーカーの技術相談窓口に機種と既存冷媒を伝えて聞いてみるのも手です。責任の線引きがはっきりしますし、あとで施主さんに説明するときの裏づけにもなります。
再利用するなら「フラッシング」は省けない工程
状態を確認して「これは使える」と判断できたとしても、そのままつなぐのはおすすめしません。管内には前の機械の油やゴミが必ず残っているので、専用のフラッシング剤を流すか、少なくとも高圧の窒素でしっかりブローして、中を洗い出す工程を入れます。ウエスに油が出てこなくなるまで、というのが一つの目安ですね。細い液管側と太いガス管側で残り方が違うこともあるので、両方きちんと確認したいところです。
フラッシングをやったあとは、ドライヤ(ストレーナ)を新品に替える、これもセットで考えたほうがいいです。せっかく洗っても、古いドライヤに詰まったゴミが残っていたら意味が薄い。あと、既存配管を使う現場は水分やゴミが入り込んでいる前提で、真空引きは新設のときより時間をかけるくらいの気持ちでちょうどいいと思います。
手間もガス代も余分にかかるので、「そこまでやるなら引き直したほうが早いし確実」となる現場も多いです。それも含めて見積もりの段階で施主さんに選択肢として示せると、あとで揉めません。安く見せるために工程を削るのは、結局いちばん高くつきますからね。
「使えます」と即答しない、施主への伝え方
現地調査で配管を見て、その場で「大丈夫ですよ」と言い切るのは避けています。見えている範囲がきれいでも、壁の中や天井裏がどうなっているかは開けてみないと分からない。だから「表から見た限りでは使えそうですが、内部の状態は保証できません」という前提をきちんと伝えるようにしています。
そのうえで、再利用する場合のリスク、たとえば数年後に詰まりや圧縮機の不調が出る可能性があること、その時は結局配管交換になること、を正直に話します。逆に引き直すなら費用は上がるけど安心は買える。この両方を並べて、施主さんに選んでもらう形にすると、こちらも仕事がやりやすいです。
こういう見えない部分の判断って、一人でやってると「まあ大丈夫だろう」に流れやすいんですよね。職人PRIDE(プライド)の仲間内でも、更新工事の配管をどう判断したか、という話はよく出ます。ほかの人がどこで線を引いているかを知っておくと、自分の基準を見直すきっかけになります。職人プライドというコミュニティは、そういう現場の細かい判断を持ち寄れる場になればいいなと思っています。
更新工事の配管は、削ろうと思えばいくらでも手を抜ける工程です。でも見えないところをどれだけ丁寧にやれるかが、たぶん職人としての本当の差になる。面倒でも一本ずつ状態を見て、必要なら引き直す。その積み重ねが「またあの人に頼もう」につながるんだと思います。

