「最近の若い子はすぐ辞める」って、現場でよく聞く話なんですよね。でも本当にそれだけの話なんだろうかって、僕はちょっと立ち止まって考えたいんです。今日は職人の技術継承について、僕なりに感じていることを書いてみようと思います。
3年で辞める若手、その前に何があったか
よく「今どきの若手は根性がない」って言われますけど、実際に現場を見ていると、辞めていく子の多くは「教えてもらえなかった」ことに疲れて辞めているケースが結構あるんですよね。忙しい現場だと、先輩は自分の作業で手一杯で、新人には「見て覚えろ」しか言えない。でも見て覚えろって、実は相当な余裕がある人にしかできない学び方なんです。何が正しくて何が間違ってるかの判断基準がまだない状態で、ただ見てるだけだと、恐怖と混乱しか残らないと思うんですよね。
しかも今の若い子たちは、学校でも会社の研修でも「なぜそうするのか」を説明されて育ってきています。理由もわからず同じ作業を繰り返させられると、「この現場、自分を育てる気があるのかな」って不安になるのも、無理はないと思うんです。技術を教えないんじゃなくて、教え方が今の時代に合ってないだけ、というケースは結構多いんじゃないかなと感じています。
「教える時間がもったいない」という現場の本音
とはいえ、現場の職人さんの本音もよくわかるんです。自分の仕事すら終わらないのに、新人に付きっきりで教える時間なんて取れない。むしろ教えている間に自分の作業が遅れて、結局残業になる。「教えたら教えた分だけ自分が損する」っていう構造、これは正直、職人PRIDE(プライド)の会員さんからもよく相談を受けるテーマなんですよね。
これって根本的には、教育にかかる時間や手間を、誰も正当に評価していないっていう問題だと思うんです。会社側が「新人教育も立派な仕事のひとつ」として時間もお金も認めてあげないと、現場の職人さんに「教えてあげてね」とお願いするだけでは続かない。教える側が損をしない仕組みを作ることが、実は技術継承の一番の土台なんじゃないかなと思っています。
一人で抱えなくていい、教え方は分担できる
もうひとつ僕が思うのは、「技術を教える」って一人の親方が全部背負う必要はないんじゃないかということです。工具の使い方が得意な人、段取りの組み方が得意な人、お客さんとの会話が得意な人、それぞれ強みが違いますよね。それなら、新人には複数の職人さんから少しずつ違う視点で教わる機会を作ってあげたほうが、結果的に幅広い技術が身につくと思うんです。
実際、一人の師匠にべったりついて教わるスタイルだと、その師匠のクセや苦手分野までそのまま受け継いでしまうことがあります。逆に、いろんな現場で違うベテランのやり方を見る機会があると、若手は自然と「自分のやり方」を作っていけるんですよね。これは一社だけで完結させるより、協力業者同士のネットワークがあるからこそできることだと思っています。
職人プライドというコミュニティでやっていきたいこと
だからこそ、職人PRIDEというコミュニティの中で、会社や現場を超えて若手を育てる仕組みを少しずつ作っていけたらいいなと僕は考えています。例えば、ベテランの職人さんが得意分野だけをちょっと教える勉強会とか、若手同士が悩みを共有できる場とか。一社の中だけでは難しいことも、職人プライドという横のつながりがあれば実現できることがあると思うんです。
技術継承って、結局は「この業界にいてよかった」と若手に思ってもらえるかどうかの話でもあります。給料や待遇はもちろん大事ですけど、それと同じくらい「ちゃんと育ててもらえた」という実感が、長く現場に残ってもらう理由になると僕は信じています。
若手が育たないのを個人の根性のせいにするのは簡単ですけど、それだと何も変わらないんですよね。教える側が損をしない仕組みと、一人で抱えなくていいつながり、この二つを職人プライドの中で少しずつ形にしていけたらと思っています。今日はそんな話でした。

