先日、真空引きの話を書いたんですけど、その前工程にあたる気密試験(耐圧試験)についても、ちゃんと書いておこうと思うんですよね。真空引きが「地味だけど大事」なら、気密試験は「地味だけど省かれがち」な工程だと思うんです。窒素をかけて、ゲージが動かなければOK、で終わらせてしまう現場、正直まだまだ多いんじゃないでしょうか。今日は、うちの現場で実際に気をつけているポイントをできるだけ具体的に書いてみようと思います。
圧力さえかければいい、という思い込み
気密試験って、窒素をボンベから充填して規定圧力までかけて、あとは待つだけの単純な作業に見えるんですけど、実はここに落とし穴が結構あるんです。よくあるのが、圧力をかけた直後にゲージを見て「動いてないから大丈夫」って判断しちゃうパターン。でも配管内の窒素って、外気温との差で圧力自体が変動するので、かけた直後の数値だけ見ても正確な判断はできないんですよね。
特に夏場は要注意です。日中の炎天下で配管が熱を持った状態で圧力をかけると、そのあと気温が下がるにつれてゲージの数値も一緒に下がっていきます。それをリークだと勘違いして余計な手間をかけたり、逆にリークがあるのに「気温のせいだろう」って見逃したりする。うちの若い衆にも、必ず外気温との差を頭に入れてから判断しろって言ってます。
待つ時間、どれくらい取ってますか
気密試験の保持時間って、現場や規模によって考え方が分かれるところだと思うんですけど、少なくとも数十分から一晩置くくらいの余裕を持たせた方がいいと言われています。工期がタイトだと「1時間くらい見て動かなければOK」にしがちなんですが、それだと微細なリークって本当に見つけにくいんです。特にフレア部分やろう付け部の小さなピンホールみたいなものは、圧力差がわずかしか出ないので、短時間の観察だと数値上は誤差の範囲に埋もれてしまう。
うちで気をつけているのは、圧力をかけた直後・1時間後・数時間後・翌朝、みたいに複数回チェックポイントを作ることです。1点だけの数値じゃなくて、変化のカーブを見るイメージですね。急に落ちてたら明らかな漏れ、じわじわ落ちてたら微細な漏れの可能性がある、っていう感覚が身につくと、現場での判断スピードもかなり変わってくると思います。
リークが見つかった時、まず疑うべき場所
実際にリークが見つかった時、経験の浅い職人ほど「配管本体のどこかに穴が空いてるんじゃないか」って本管を疑いがちなんですけど、うちの経験だと圧倒的に接続部が原因のことが多いです。フレアナットの締め付け不足、袋ナットの傷、ろう付け部の巣穴、あとは意外と多いのがバルブのキャップの締め忘れ。まずはこの辺りから石鹸水で泡立てて一つずつ潰していくのが、結局一番早い近道だったりします。
あと現場でよく見るのが、リークテスターの電池切れとか感度不足に気づかず「異常なし」で終わらせてしまうケース。道具のメンテナンスって、こういうところでボディブローみたいに効いてくるんですよね。定期的に校正されたガス検知器を使うか、石鹸水と併用して二重でチェックするくらいの慎重さがあってちょうどいいと思います。
季節と現場条件で変わる、圧力の見方
気密試験の圧力管理って、実は季節によっても勘所が違うんですよね。冬場は逆に、日中に低めだった気温が日没後さらに下がることで、想定より大きく圧力が落ちて見えることがあります。これも実際のリークと勘違いしやすいポイントで、外気温の記録を残さずに判断すると、結局は「気のせいだったのか、本当に漏れてたのか」があとから分からなくなってしまう。うちでは温度計を配管の近くに置いて、圧力チェックのたびに気温もメモするようにしています。
屋外露出配管と、天井裏や壁内に隠蔽される配管とでも、リークが見つかった時の重みは全然違います。露出配管なら施工後でも直せますけど、隠蔽配管で気密試験を甘くやって後から漏れが発覚したら、壁や天井を壊して直すことになる。だからこそ隠蔽になる部分ほど、保持時間を長めに取ったり、二重三重でチェックしたりする慎重さが必要だと思うんです。
記録を残すことが、次の自分と若手を守る
気密試験の結果って、口頭で「大丈夫でした」で済ませちゃう現場、まだ多い印象があります。でも圧力の初期値・保持時間・最終値くらいは写真に撮ってメモしておくだけで、あとで何かトラブルがあった時に「あの時点では正常だった」っていう証拠になるんです。これはお客様に対する説明責任という意味でもそうですし、職人PRIDE(プライド)に集まっている仲間同士でも、こういう記録の取り方の工夫を共有できたら現場全体のレベルが上がるんじゃないかなと思っています。
若手に教える時も、「圧力かけて放置」じゃなくて「なぜ待つ時間が必要なのか」「なぜ複数回チェックするのか」まで理屈で伝えると、応用が利くようになる気がします。見て覚えろだけじゃなく、理由とセットで伝える。これも以前書いた技術継承の話とつながるところですね。
気密試験は地味ですけど、ここで手を抜くと後々の水漏れやガス漏れトラブルにつながって、結局は自分の信用を削ることになります。焦らず、圧力の変化をちゃんと見届ける。そんな当たり前を大事にできる職人が、長く選ばれ続けるんだと思います。

