独立して一人親方になったばかりの頃って、技術よりも先に「来月の仕事、ちゃんとあるかな」っていう不安の方が大きかったりしませんか。僕自身は職人ではないですが、職人PRIDE(プライド)を通じていろんな一人親方さんの話を聞く中で、この「仕事が途切れる怖さ」は独立直後にほぼ全員が通る道なんだなと感じています。今日はその怖さの正体と、仕事を安定させるための現実的な考え方について、少し踏み込んで書いてみようと思います。
独立直後に陥りがちな「仕事が途切れる怖さ」の正体
会社員や職人として現場に出ていた頃は、仕事は会社や親方が取ってきてくれて、自分はただ現場で腕を振るえばよかった。でも独立すると、営業も見積もりも事務作業も全部自分の仕事になります。今まで誰かに任せていた「仕事を取る部分」を急に自分で背負うことになるからこそ、独立したての頃は特に不安が大きくなるんだと思うんですよね。
よくあるパターンとしては、前の会社や昔からの知り合いからの紹介で最初の数ヶ月は仕事が回っていたけど、半年くらい経つとその紹介の仕事が一巡してしまって、次の仕事が見つからずに焦り始める、というケースです。技術はあるのに、仕事の「取り方」の経験がないせいで不安定になってしまう。これは本人の腕の問題ではなく、純粋に営業ルートの問題なんです。実際、独立して数年経ってから「もっと早く相談すればよかった」と話す職人さんも少なくありません。
一人で営業も現場もやる大変さ、実際どうなの
直請けで仕事を取っていくやり方は、うまくいけば単価も自分で決められるし自由度も高い。でも現実には、見積もりを出して断られたり、価格交渉で疲弊したり、現場が終わった後にくたくたの体で次の営業の電話をかけたりと、体力も気力も使います。現場仕事だけでも十分疲れるのに、そこに営業活動が乗っかってくると、独立したての頃はかなりしんどいと感じる人が多いみたいです。
しかもこの時期は、まだ実績も少なく信用もこれから積み上げていく段階なので、同じ見積もりを出しても経験豊富な職人より通りにくいことがあります。平日は現場に出て、夜は見積もりや経理の処理をして、休みの日には次の仕事を探して営業の電話をかける。そんな生活を数ヶ月続けて、体力的にも精神的にも参ってしまったという話も実際に聞きます。かといって、営業を完全にやめて待っているだけでは当然仕事は来ません。この「現場と営業の両立」こそが独立したての一番のハードルだと思っていて、だからこそ最初のうちは、営業活動そのものを誰かに代わってもらえる仕組みをうまく使うというのも、十分にありな選択肢なんじゃないかと思うんです。
「協力業者」という働き方で、営業の悩みがどう変わるか
職人プライドのような協力業者のネットワークに登録して仕事を受けるやり方だと、自分で営業先を一から開拓しなくても、現場の依頼が回ってくる仕組みになります。もちろん全部が全部おまかせというわけではなく、面談を通じてお互いの条件や希望を確認し合うプロセスはありますが、少なくとも「来月の仕事がゼロかもしれない」という一番の不安は、かなり和らぐはずです。
面談で聞かれることについては、以前のコラムでも触れましたが、特別身構えるような難しい話ではなく、どんな現場を経験してきたか、どんな道具や工法に慣れているか、どんな働き方を希望しているか、といった確認が中心です。独立したての職人さんの中には、まだ実績が少ないことを気にして登録をためらう人もいますが、実際のところは経験年数そのものよりも、現場でどう動けるかという実務的な部分を見てもらえる場だと捉えてもらえればと思います。詳しい条件や進め方は面談の中で確認できますので、気になる点があればそこで率直に聞いてみてください。「こんな基本的なことを聞いていいのかな」と思うような質問でも、独立したての段階ではみんな同じように悩んでいるものなので、遠慮せずに確認してもらった方がお互いのためだと思います。
よく「結局どっちが得なんですか」と聞かれますが、これは職人さんの性格や家庭の状況によっても変わってくる話です。自分で価格を決めて自由に動きたいタイプなら直請け中心が合っているでしょうし、現場に集中して収入の波を小さくしたいタイプなら協力業者としての働き方が合っていることが多い印象です。
独立したばかりの段階で、どちらか一方に決め切る必要はないと思います。最初は協力業者として現場をこなしながら生活の基盤を安定させて、余裕が出てきたタイミングで直請けの比率を増やしていく、という進め方をしている職人さんも珍しくありません。働き方は一度決めたら変えられないものではなく、その時々の状況に合わせて調整していけばいい、くらいの気持ちでいいんじゃないかと思います。
独立したての職人が仕事を安定させるために、今できること
仕事を安定させるコツとして僕がよく聞くのは、「仕事の入口を複数持っておく」という考え方です。直請けの営業も続けながら、協力業者としての依頼も並行して受けられるようにしておくと、どちらか一方が落ち込んだ時にもう一方で補える。独立したてのうちは特に、入口を一つに絞らない方が精神的にも楽だと思います。
もう一つは、最初から完璧な体制を作ろうとしないことです。独立直後は技術にも働き方にも自信がない部分があって当然で、そこを埋めるために協力業者という形で現場経験を積みながら、少しずつ自分のペースをつかんでいく。単価交渉や工程管理といった部分も、現場をこなしながら少しずつ覚えていけばいい話で、最初から一人で完結させようと気負いすぎなくても大丈夫なんじゃないかと思います。
独立したての不安は、誰もが通る道です。一人で抱え込まずに、職人PRIDEのようなコミュニティに相談してみるのも一つの手だと思いますし、まずは面談で話を聞いてみるところから始めてみるのもいいんじゃないでしょうか。焦らず、自分に合った仕事の取り方を見つけていってほしいなと思います。

