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デフレとは

インフレの解説に続き、今度は「デフレ(デフレーション)」についてですね。

実は、日本が20年以上も抜け出せなかったのが、このデフレという底なし沼です。一見すると「モノが安くなって万々歳」に見えるのですが、現場の職人にとってはインフレ以上にジワジワと首を絞められる、本当に恐ろしい現象なんです。

今回も、現場の目線で「デフレとは何なのか」「なぜ職人が地獄を見るのか」を分かりやすく解説します。

目次

デフレを一言で言うと「モノが安くなり、お金の価値が上がること」

インフレの真逆です。

インフレが「モノの価値が上がって、お札が紙切れに近づく」ことだったのに対し、デフレは「モノの価値が下がり、お金の価値が上がること」を言います。

💡 職人目線でのデフレの例

  • 以前:20,000円出さないと買えなかった最新の電動工具がある。
  • デフレ時:店が売れないからどんどん値下げして、15,000円で買えるようになった。= 「1万円札」のパワー(購買力)がめちゃくちゃ強くなっている。

これだけ聞くと、「え? 道具も安くなるし、スーパーの飯も安くなるなら、最高じゃん!」と思いますよね。でも、ここに強烈な罠があるんです。

なぜデフレになると職人が地獄を見るのか?

デフレの本当の恐怖は、「モノが安くなるスピードよりも、俺たちの『日当・人工(にんく)』が下がるスピードの方が早い」という点にあります。

経済がデフレになると、以下のような「最悪のドミノ倒し(デフレスパイラル)」が起きます。

① 世の中の財布の紐が固くなる

みんな「来月になればもっと安くなるかも」「将来が不安だからお金を使わないでおこう」と考え、家を建てたり、リフォームしたり、設備を新しくしたりするのをやめます。

② 元請けやゼネコンの「価格競争」が始まる

仕事(現場)の数が減るので、建設会社や元請けは、少ない仕事を奪い合うために「他社より安く工事します!」と無理な値引き合戦を始めます。

③ しわ寄せがすべて「現場の職人」にくる

無理な金額で仕事を獲ってきた元請けが、次に何をするか?

下請け・一人親方への「コストカット(叩き)」です。

  • 「すまん、今回の現場、予算がないから人工1万8千円を1万3千円でやってくれ」
  • 「予算これだけしかないから、材工一式でなんとか収めてよ」

④ 職人の収入が減り、誰もお金を使わなくなる

日当を削られた職人は、当然生活が苦しくなるので、道具を買うのを我慢し、外食をやめます。すると、工具屋や飲食店も売れないからさらに値下げせざるを得なくなる……。

これが、日本が長く苦しんだ「デフレスパイラル(悪循環)」の正体です。

インフレとデフレ、職人にとってどっちがマシ?

職人の立場から見ると、両者には以下のような決定的な違いがあります。

経済の状態職人の状況職人の戦い方
インフレ(今ここ)仕事はある。材料は高いが、交渉次第で単価を上げるチャンスがある。「値上げ交渉」と「技術の差別化」
デフレ(過去の日本)そもそも仕事がない。**交渉の余地なく単価を叩かれる。**代わりはいくらでもいると言われる。「コスト削減」と「耐えること」

デフレの時代は、どんなに腕が良くても「もっと安い奴がいるから」という理由だけで仕事をとられる、職人のプライドが一番傷つく時代です。

それに対して、今のインフレ時代は「材料費が上がってキツい」のは事実ですが、世の中的には「モノの値段が上がるのは仕方ない」という空気ができています。つまり、「腕がいい職人なら、正当な理由をつけて単価を上げる交渉がしやすい環境」でもあるのです。

まとめ:「安いから」で選ばれる職人は、デフレ脳から抜け出せない

日本は長らくデフレだったため、私たち職人の間にも「とにかく安くやります!」「予算に合わせます!」と言って、自分の身を削って仕事をもらう癖(デフレ脳)がついてしまっています。

しかし、時代はもう変わりました。

デフレの時のように「安さ」だけを武器にしていると、インフレの今、材料費の高騰に耐えきれず真っ先に潰れてしまいます。

「安く叩かれるデフレの時代」に戻らないためにも、これからは「安さではなく、技術と信頼で選ばれる職人」を目指していくことが、何よりの生き残り戦略になります。

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