【無料】新規会員募集中!ご登録はコチラ!

インフレとは

日々、現場で汗を流している職人の皆さん、本当にお疲れ様です。

最近、元請けからの仕事の単価が変わらないのに、材料屋から「次回から値上げになります」と言われたり、ガソリン代や道具の値段が上がって「なんだか手残りが減っているな…」と感じたりしていませんか?

その原因が、今世間を騒がせている「インフレ(インフレーション)」です。

「インフレなんて経済学者の話で、俺たち現場の人間には関係ない」と思っていると、気づかないうちに利益を削り取られ、最悪の場合、働いても働いても生活が苦しくなる「貧乏暇なし」の状態に陥ってしまいます。

今回は、職人や一人親方の皆さんに向け、「インフレとは何なのか?」「なぜ俺たちの財布がキツくなるのか?」そして「この時代をどう生き抜けばいいのか?」を、現場の言葉でどこよりも分かりやすく解説します。

目次

そもそも「インフレ」ってなに?

インフレを一言で言うと、「モノの価値が上がり、お金の価値が下がること」です。

「モノの値段が上がる」というのはイメージしやすいですよね。例えば、今まで100万円で買えていたハイエースや軽バンの中古車が、インフレになると120万円出さないと買えなくなる。これがインフレです。

これを逆の視点から見ると、「お金の価値が下がった」ということになります。

昨日までは「100万円」というお札の束に「車1台分」の価値があったのに、今日は「車0.8台分」の価値しかなくなってしまったわけです。

💡 職人目線でのインフレの例

  • 以前:15,000円あれば、上質な電動工具が1台買えた。
  • 現在:同じ工具を買うのに20,000円出さなきゃいけなくなった。= 「1万円札」という紙切れのパワー(購買力)が弱まっている。

「給料や手間請けの金額が変わっていないからセーフ」ではないのです。入ってくるお金が同じでも、出ていくお金が増えているなら、それは実質的に「減給」されているのと同じことです。

なぜ今、あらゆるものが値上がりしているのか?

今回のインフレには、主に2つの大きな原因があります。どちらも現場の仕入れに直撃しているものです。

1. 原材料費・エネルギーコストの高騰(コストプッシュインフレ)

世界的な情勢の不安定さや円安の影響で、海外から入ってくる燃料や材料の価格が爆上がりしました。

ガソリンや軽油が高くなれば、材料を運ぶ運送費が上がります。現場に移動するマイカーやトラックの維持費も上がります。さらに、建材、電線、塗料、ビス一本に至るまで、製造にエネルギーを使うものはすべて値上げせざるを得なくなっているのです。

2. 人手不足による人件費の高騰

今、どの業界も職人不足です。特に若い衆が捕まらない。「日当1万5千円じゃ誰も来ないから、2万円に色をつけないと応援が呼べない」という状況になっていませんか?

人手を確保するためにコストがかかるのも、インフレを加速させる一因です。

インフレが職人に与える「3つの大打撃」

インフレの恐ろしいところは、ボクシングのボディブローのように、じわじわと経営と生活を追い詰めてくる点です。具体的には以下の3つのリスクがあります。

① 「見積もりの賞味期限」が短くなる

数ヶ月前に出した見積もりの金額で、いざ今月着工しようとしたら、材料費が上がっていて利益がほとんど出なかった……という経験はありませんか?

インフレ局面では、「過去に出した見積もり」通りに仕事をすると、自分が損をするリスクが跳ね上がります。

② 応援や外注費を払うと、自分の取り分が消える

応援の職人を呼ぶ際、相手も生活がかかっているため日当の値上げを要求してきます。しかし、元請けからの請け負い金額が変わっていなければ、その値上がり分はすべてあなたのポケット(利益)から持ち出しになります。

③ 生活費が上がり、同じ生活水準を維持できなくなる

現場の経費だけでなく、スーパーの食料品、電気代、家賃やローン、子供の学費まで、生活に関わるすべてのものが値上がりしています。「前と同じだけ稼いでいるはずなのに、なぜか貯金ができない」のは、このためです。

職人がインフレ時代を生き抜くための「4つの防衛策」

では、私たち職人はこの時代にどう立ち向かえばいいのでしょうか?

ただ指をくわえて耐えるのではなく、「職人のプロ」として動き方を変える必要があります。

対策具体的なアクション
1. 見積もりに「有効期限」をつける「見積提出後〇ヶ月以内」と明記し、材料高騰時は再見積もりする旨を伝える。
2. 元請け・施主への「単価交渉」感情論ではなく、材料費や燃料費の具体的な高騰データを元に交渉する。
3. 「手間受け」から「材工一式」へのシフト腕の良さだけでなく、材料の手配も含めて付加価値をつけて利益を確保する。
4. スピードとクオリティで「他と差別化」「高くてもあなたに頼みたい」と言われる一流の職人になり、価格競争から抜ける。

特に重要なのは「単価交渉」

多くの職人さんが「値上げを交渉したら、次の仕事が来なくなるかもしれない」と不安になります。その気持ちは痛いほど分かります。

しかし、考えてみてください。材料屋もガソリンスタンドも、あなたに「申し訳ない」と言いながらも容赦なく値上げしてきましたよね? それは彼らがボッタクリたいからではなく、そうしないと会社が潰れるからです。あなたも同じです。

  • 「今まで通りの金額では、材料費を引くと日当が1万円を切ってしまい、生活が成り立ちません」
  • 「応援を呼ぶ費用が上がったため、今回の現場からはこの金額でお願いします」

このように、「なぜ値上げが必要なのか」を数字で冷静に伝えることが大切です。

まともな元請けであれば、優秀な職人を失いたくないため、相談に乗ってくれるはずです。もし「嫌なら他の奴に頼むからいいよ」と買い叩いてくるような元請けなら、インフレを機に付き合いを見直すタイミングかもしれません。

まとめ:腕がいいのは当たり前、これからは「経営センス」がある職人が生き残る

これまでは「腕が良くて、現場を綺麗に早く納める」のが良い職人の条件でした。

しかし、これだけモノの値段が激しく動くインフレ時代においては、「自分にかかっているコストを把握し、正当な対価を請求できる」という経営者としてのセンスが不可欠になります。

10年後も、20年後も、一線でプライドを持って美味い飯を食い続けるために。

まずは自分の現場のガソリン代や材料費がいくら上がっているか、一度電卓を叩いて計算することから始めてみませんか?

目次