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「若手が育たない」ってよく聞くけど。自分の下に誰かつけたこと、ありますか。技術継承について思うこと

「若手が育たない」ってよく聞くけど。自分の下に誰かつけたこと、ありますか。技術継承について思うこと

「最近の若い子は辛抱が足りない」「教えてもすぐ辞める」。職人さんが集まると、必ずと言っていいほどこの話題になるんですよね。僕も何度も耳にしてきました。でも、ちょっと視点を変えて考えてみたいなと思うんです。育てる側にも、育て方ってあるんじゃないかって。

「見て覚えろ」が通用した時代は終わったのかもしれない

昔ながらの職人の世界では、「技術は見て盗むもの」という考え方が当たり前でした。先輩の手元をじっと見て、やってみて、怒られて、また見て。それで一人前になっていく。僕自身もその空気感はよく分かりますし、その中で培われた感覚や勘は、今でも現場で生きていると思います。

ただ、今の若い世代に同じやり方だけで向き合うと、空回りすることが増えている気がするんです。別に根性がないわけじゃなくて、「何のためにこの作業をしているのか」「このあとどうなるのか」を先に知りたいタイプが多い、というだけなんですよね。手順の意味を一言説明してあげるだけで、飲み込みが全然違ってくることもあります。「見て覚えろ」に「ついでに理由も教える」を足すくらいの工夫で、十分変わるんじゃないかと思っています。

怒り方ひとつで、辞めるか続くかが決まることもある

現場でのミスを叱るのは当然必要なことです。危険につながるミスなら、むしろ強く言わないといけない場面もあります。ただ、「何に対して怒っているのか」が本人に伝わっているかどうかで、受け取り方は大きく変わるんですよね。

「お前は向いてない」みたいな人格に向かう言い方と、「この締め方だと将来漏れる可能性があるから、ここだけは絶対に直して」という作業に向かう言い方は、同じ「厳しさ」でも中身が全然違います。前者は萎縮させるだけで終わることが多いですが、後者はちゃんと技術として積み重なっていく。感情的に叱りたくなる瞬間こそ、一呼吸置いて「これは人格の話か、作業の話か」を自分の中で整理してから口を開くようにすると、伝わり方がだいぶ変わってくると思います。

自分の仕事を分けることは、自分の仕事を奪われることじゃない

一人親方としてずっとやってきた方の中には、「下に誰かをつける」ことに抵抗がある人も少なくないと思います。教える手間がかかるし、自分でやった方が早いし、何より「自分の技術を手の内から出してしまう」ような感覚があるのかもしれません。

でも、技術を抱え込んだまま現場に出続けていると、いずれ体力的な限界が来ますし、何より自分が倒れたときに現場が回らなくなってしまいます。簡単な下地作業や段取りだけでも任せてみる、小さな一歩から始めてみる。それだけでも、誰かに技術を渡していく練習になりますし、結果的に自分の仕事量を調整できるようになったという話もよく聞きます。教えることは、自分の価値を減らすことじゃなくて、むしろ自分の働き方の幅を広げることにつながるんじゃないかなと思うんです。

一人で育てようとしなくてもいい、という選択肢

「自分のところで育てきれる自信がない」という声もよく聞きます。それは当然のことで、一人親方が一人で全部背負おうとすると、どうしても無理が出てきます。だからこそ、職人PRIDE(プライド)のようなコミュニティの中で、現場の垣根を越えて若手の話や育成のコツを共有できる場があるのは、意外と心強いものだと思うんです。

同じ業種の人だけでなく、他の職種の職人さんがどうやって若手と向き合っているかを聞くだけでも、ヒントになることは多いです。職人PRIDEという場を、技術だけでなく「育て方」を学び合う場としても使ってもらえたら、僕としても嬉しいなと思っています。

育成に正解はないと思います。でも、自分がどう教えられてきたかを振り返りながら、今の若い世代に合わせて少しだけアップデートしてみる。それだけで、次の世代に技術を渡していく道筋は、きっと開けていくはずです。

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