「室外機、ベランダじゃなくて庭に置きたいんですけど」というご相談、実はけっこう多いんです。見た目もすっきりするし、気持ちはすごくわかるんですけど、そのときにセットで考えなきゃいけないのが「配管の長さ」の話なんですよね。今日はこの、意外と知られていない配管事情について書いてみようと思います。
配管が長くなると、なぜ効きが落ちるのか
エアコンって、室内機と室外機の間を冷媒ガスが行ったり来たりすることで冷房・暖房をしています。この冷媒が通る道が「配管」なんですが、当然ながら配管が長くなればなるほど、冷媒が移動する距離も、圧力の損失も大きくなります。イメージとしては、短いストローで飲むのと、すごく長いストローで飲むのの違いに近いかもしれません。同じ力で吸っても、長いストローのほうが抵抗が大きくて飲みにくいですよね。冷媒もそれと似たようなことが起きています。
メーカーのカタログを見ると、大体どの機種にも「標準配管長」というものが決まっていて、そこから配管を延長するごとに、能力が数パーセントずつ下がっていくという補正値が書かれています。うちで工事する際も、この数字は必ず確認してから見積もりを出すようにしています。特に高い階のマンションでパイプシャフトが遠回りしている物件なんかは、思ったより配管が長くなることがあるので要注意です。
「じゃあ短ければ短いほどいいのか」というと、それも違う
ここまで聞くと「配管は短ければ短いほどいいんだな」と思われるかもしれませんが、実はメーカーが定める「最短配管長」というのもあって、極端に短すぎるのも良くないんです。配管の中には冷媒だけじゃなくて、コンプレッサーの潤滑オイルも一緒に循環しているんですが、これがうまく循環するにはある程度の長さと、配管の勾配が必要になります。短すぎるとオイルが偏ってしまって、逆にコンプレッサーの寿命を縮めてしまうこともあるんですよね。
なので現場では「とにかく最短距離で」ではなく、メーカーの推奨範囲の中で、かつ室外機の設置場所や配管ルートの取り回しやすさも含めて、ちょうどいい長さを探っていく、というのが実際のところです。この辺りの匙加減は、正直図面だけでは分からなくて、現地を見てはじめて判断できる部分が大きいです。
戸建てとマンションで、悩みどころが全然違う
戸建ての場合、配管が長くなる原因の多くは「室外機を道路から見えない位置に置きたい」「庭の景観を崩したくない」といった、デザイン面のご要望です。これは工夫のしがいがあるところで、配管カバーの色を外壁に合わせたり、ルートを工夫して極力短くまとめたりと、うちのほうでも提案できることがいろいろあります。
一方でマンションやアパートの場合は、そもそも室外機置き場が決まっていて、そこまでの配管ルートに融通が利かないケースがほとんどです。パイプシャフトの中を何メートルも通す必要があったり、上の階からの配管とまとめて束ねなければいけなかったりと、建物の構造そのものに合わせるしかない場面が多いんですよね。こういう物件では、事前に「このぐらい配管が伸びるので、カタログスペックより少し能力に余裕を見て機種を選びましょう」というご提案をすることもあります。
お客様に知っておいてほしいこと
配管の長さは、正直パンフレットの写真だけを見ていても分からない部分です。だからこそ、見積もりの段階で「配管、何メートルくらいになりそうですか」と聞いていただけると、こちらとしてもすごく助かりますし、後から「思ったより効きが弱い気がする」というトラブルを未然に防げます。
特に買い替えのタイミングで「前の機種と同じ号数でいいや」と決めてしまうと、実は配管が延びていて実質的な能力が落ちている、なんてこともあり得ます。そのあたりも含めて、現地でしっかり測らせていただいてから提案するのが、うちのやり方です。
今日は配管の長さというちょっと地味なテーマでしたけど、エアコンの効きを左右する結構大事な要素なので、ぜひ頭の片隅に置いておいてもらえたらうれしいです。
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